鳶も大好き武勇伝。
鳶にとっての武勇のポイントは
「如何に死に損なったか」である。
まずは怪我の話から始まる。
大概が怪我をしても病院など行かず、
自分で縫って治したという具合だ。
お約束は酒は消毒。
子どもの頃はすごいなぁと思ってたけど
やれ医者嫌いだの怖いだの保険証が無いだの
そんな裏を知って幻滅する。
酒がまわると話がエスカレートしていく。
「バラはすごかった。」
足場から落ちた。
鉄筋がコンクリートから円状に
たくさん突き出ているところに落ちた。
普通なら串刺しで死んでいるが、
バラは1本だけ肩に刺さっただけで済んだ。
鉄筋は抜けないので前後をバーナーで短く切って
刺さったまま病院に行った。
バラしゃんが誇らしげにしている・・・
「最初の頃、あんちゃん(父のこと)と
行った現場怖かったなぁ」と
言い出したのはエイジあんちゃん。
現場は貯水タンクだった。
まだ二人とも、ど素人ではったりで受けた現場だった。
貯水タンクは球状だった。
球状のものにどうやって登るのか
わからないのなら登らないのが普通だろう。
でもこの二人は登った。
そして二人とも大の字で球にへばり付き
登っては滑り落ちを繰り返し。
二人は力尽き「落ちるー」と叫んでみたり
へばり付きながら、なんでこんなことしてるんだろうと
ぼんやり考えたりした。
最後はエイジあんちゃんが決死の覚悟で登りきり
父を引っ張り上げたそうだ。
そして、エイジあんちゃんが締めくくった。
「なんも知らなかったから、
二人ともヤッケ着てったんだよ。
だからツルツルツルツルよう滑っちゃって・・・」
そこ?そこなのか?
父が口を開く。
昔はビル建てるのに、
落ちて死ぬなんて当たり前だったんだよ。
ニュースにもなんないしな。
あそこの博物館、うちやったろ?あそこなんか
朝礼で「この現場は三人しか死にませんでした」って
言っちゃってたんだから。
朝からラジオ体操するような時代とは
現場で働く人間の扱いが全く違うんだよ。
先日、うちの若い衆が足場から落ちたそうだ。
致命的な高さだったけど落ちた場所が
土嚢だったから骨折と打撲で済んだ。
父は言った。
「うちは今まで現場で1人も死者は出していないんだ。
今回は流石にダメだと思った。」
早く、武勇伝になる日が来ますように。
鳶にとっての武勇のポイントは
「如何に死に損なったか」である。
まずは怪我の話から始まる。
大概が怪我をしても病院など行かず、
自分で縫って治したという具合だ。
お約束は酒は消毒。
子どもの頃はすごいなぁと思ってたけど
やれ医者嫌いだの怖いだの保険証が無いだの
そんな裏を知って幻滅する。
酒がまわると話がエスカレートしていく。
「バラはすごかった。」
足場から落ちた。
鉄筋がコンクリートから円状に
たくさん突き出ているところに落ちた。
普通なら串刺しで死んでいるが、
バラは1本だけ肩に刺さっただけで済んだ。
鉄筋は抜けないので前後をバーナーで短く切って
刺さったまま病院に行った。
バラしゃんが誇らしげにしている・・・
「最初の頃、あんちゃん(父のこと)と
行った現場怖かったなぁ」と
言い出したのはエイジあんちゃん。
現場は貯水タンクだった。
まだ二人とも、ど素人ではったりで受けた現場だった。
貯水タンクは球状だった。
球状のものにどうやって登るのか
わからないのなら登らないのが普通だろう。
でもこの二人は登った。
そして二人とも大の字で球にへばり付き
登っては滑り落ちを繰り返し。
二人は力尽き「落ちるー」と叫んでみたり
へばり付きながら、なんでこんなことしてるんだろうと
ぼんやり考えたりした。
最後はエイジあんちゃんが決死の覚悟で登りきり
父を引っ張り上げたそうだ。
そして、エイジあんちゃんが締めくくった。
「なんも知らなかったから、
二人ともヤッケ着てったんだよ。
だからツルツルツルツルよう滑っちゃって・・・」
そこ?そこなのか?
父が口を開く。
昔はビル建てるのに、
落ちて死ぬなんて当たり前だったんだよ。
ニュースにもなんないしな。
あそこの博物館、うちやったろ?あそこなんか
朝礼で「この現場は三人しか死にませんでした」って
言っちゃってたんだから。
朝からラジオ体操するような時代とは
現場で働く人間の扱いが全く違うんだよ。
先日、うちの若い衆が足場から落ちたそうだ。
致命的な高さだったけど落ちた場所が
土嚢だったから骨折と打撲で済んだ。
父は言った。
「うちは今まで現場で1人も死者は出していないんだ。
今回は流石にダメだと思った。」
早く、武勇伝になる日が来ますように。