さて、話は少し遡ります。

わたしがいくつの時だったか、
その時に住んでいた飯場の台所および食堂は土間だった。

ある晩、わたしはコップを落とす。
見事に割れるコップ。

母が怒り「出てけ」とつい言ってしまう。
真に受けたわたしは出て行く。

怒られたことはそんなに辛くなかった。
それよりも悲劇のヒロインになって夜道を歩きながら
なぜかワクワクした。

向かう先は銭湯。父の出てくるのを待つためだ。
しかし、待てど暮らせど出てこない。

心細くなってきたところ、
遠くから「いたぞー」という若い衆の声。

わたし「失敗して怒られちゃったの」
父「そうか、じゃあ一緒にお母さんに謝ろうね」
となぐさめてもらってハッピーエンドというシナリオが
ガラガラと崩れ、いったいこの後どうなるのか?
どうなるのか?どうなるのか?・・・つづく。
という形で幕を閉じた。