欲しいものを紙に書いて靴下に入れ枕元に置いて寝ると

翌朝、プレゼントが置いてある。


わたしも幼いうちはサンタクロースの存在を信じていた。

小学生くらいになるとサンタクロースの正体は

親だという情報が入ってくる。

わたしもそうだろうと思っていた。


毎年正体をつかもうと、紙に書く時にばれないように書いたり

ふとんの中で必死で起きて待っていたりしたが、

ことごとく失敗に終わる。


そして一番の疑問があった。

両親ともにプレゼントを買いに行っているのを見たことがないのだ。

クリスマスぎりぎりに紙に書いてからイブの深夜までの間、

わたしは両親を見張ったが、寝るまでずっと一緒だった。

アリバイ成立だ。


イブは日本のおもちゃ屋は24時間営業なのか。

父が夜中に無理矢理店を開けさせているのか。


それとも、もしかしたら、

うちには本当にサンタクロースが来ているのか。


ある年のクリスマス。

わたしは紙に「絵の具セット」と書いた。

翌朝、枕元にあったのは12色の水彩絵の具。

36色でもない。


わたしが欲しかったのは絵の具だけじゃなくて

パレットや筆、水入れなどがケースに入ったものだった。


横で希望通りのものを手にした妹がはしゃいでいる。


がっくり。


がっくりというのはこういう時になるのだ。


わたしは母に愚痴をこぼした。

母は「ちゃんとわかるように書かないからよ」と言った。


仕事から帰ってきたバラしゃんが、

「まちごうとったか?ありゃーーー」と

自分のおでこをぺしっと叩いた。



うちのサンタクロースはバラしゃんだった。


毎年「不景気だからケーキは無し」と言いながらも

ケーキを買ってくれたバラしゃん。


翌年、紙に「○○スーパーのレコード売り場の奥の棚の

上から2段目にあるイエローマジックオーケストラの

『増殖』のカセットテープ」と書いたら、

母親にこっぴどく怒られた。

そしてこれが最後のサンタクロースへのお願いになった。



I wish you a Merry Christmas.