飯場ごとにゴミ焼却用のドラム缶があった。
焼却時間は洗濯物を干さない時間帯の朝一番。
寒い冬は若い衆が出勤前に暖をとる。
今時は許されないことだけど。
ドラム缶ストーブの作り方
ドラム缶の下から1/3の場所に鉄の網を張る。
一番下に灰を出すための小窓を開ける。
側面に通気用に穴を数箇所あける。
食堂で石油ストーブを皆でわいわい囲むのも楽しかったが、
外でドラム缶ストーブを囲むのは、さらに楽しかった。
火や煙の威力を見せつけられるからなのか。
手のひらに火の熱さを感じ、背中に冬の足音を感じる。
19才の時(飯場には住んでいない)、
とあるイラストコンクールに応募した。
B全パネルに紐につながれた、うらめしい瞳の山羊を描いた。
かなり自信があったが落選。
ワタシはお嬢という特権を振りかざし、
その巨大なパネルを飯場に持っていき、
若い衆の部屋のテレビの上に飾った。
若い衆から「これは犬か?芸術家は違うな」と
賛美を受けた。
中には「気分が悪くて寝付けない」と
イラストからほとばしるオーラを絶賛した人もいた。
数ヵ月後は年末だった。
ワタシは朝早くから飯場に行く用があった。
若い衆はドラム缶ストーブで暖を取っている。
久々にワタシもあたらせてもらった。
ドラム缶ストーブの中で勢いよく山羊が燃えていた。