うちの若い衆は基本的に太陽が出ていないときは働かない。
暗闇では危険な仕事だから。
盆と正月は働かない。ゲンカツギの意味もあって。
雨が降ると現場は休みになる。
雨の影響で作業ができないことも多々ある。
学級閉鎖が大好きな健康優良児のワタシは
仕事が休みになっても喜ばない若い衆が不思議だった。
特別な事態。それは台風。
台風が接近すると飯場は夜中であろうが動き出す。
足場が飛ばされないように緊急出動するのだ。
食堂に若い衆が集められ、父が指揮をとる。
ワタシは襖の陰からワクワクしながら覗く。
ついさっきまで酔っ払いだった鳶たちの顔は
真剣で気迫に満ちていている。
普段の仕事と違って、悪環境での作業。
細心の注意とチームワークが必要だ。
若い衆が気合を掛け合い、車に乗り込んでいく。
母とコドモたちは皆が無事に戻ることを願う。
緊急出動の次の日の夕食時は、とても賑やかになる。
皆がそれぞれ武勇伝を披露するからだ。
大変だったはずなのに、とても楽しそうだ。
大人のくせに無邪気そのものだ。
自然とは時には牙をむくものだけど
それによって人間は生を感じ、
生き生きとなるものなのかな。