ある給料日の晩、鳶のエイジあんちゃんは
真っ白なスーツをばりっと着て
深紅のバラの花束を持って食堂に登場。
「これから、あんちゃん頑張ってくるからな」と
照れながらも嬉しそうに言った。
行き先は行きつけのスナック。
お相手はママさんだとか。
「バラ、何本あると思う?すごいだろ?」
ワタシは声を出して数えた。
「このバラの数は彼女の歳の数なんだぞ」
エイジあんちゃんの自信満々な姿に
ワタシは勝利を予感し歓喜した。
ツトムくんにはフィリピーナの彼女がいた。
彼女のお店には毎日のように通っていた。
ある日、彼女の病弱な父のために、仕事を休んで
フィリピンに薬を持って行くといい出した。
薬はツトムくんが持って行かなくてもいいのではないか?
と父が説得したが、いずれは自分の父親になる人の為
だからと食い下がった。
しかし、結局、ツトムくんは行かなかった。
その代わり毎月、薬代を送るようになった。
彼女がフィリピンに帰るまで続いた。
こんな彼らを見て、あーあ、と思った頃もあったけど
こうやって書き出してみると、彼らは迷わず走ってたんだなぁと
感心してしまうワタシ40歳だった。