飯場の娯楽のひとつが花札のおいちょかぶ。

給料日の晩あたりが盛り上がる。


こどもがそんな場にいるのは不適切極まりないが

父は許してくれていた。


おいちょかぶは2~3枚の札を足して出た数字で競うもの。

花札はトランプと違って数字が無いので

まず絵札を覚えないといけない。

そして瞬時に暗算して、3枚目が必要かどうか判断する。

この作業がなかなか楽しい。

暗算力も鍛えられたと思う。


もちろん持ち札がどんな状態か相手にバレないよう

演技力も必要だ。


3枚目の札を親から貰う時、

例えば、あと5つ6つ増やしたい時は

「ちょこっとください」なんて言う。

すると親は「そう言わずにたくさん貰って」と言いながら

札をパシッと打ち付ける。


札の合計の呼び方は以下の通り。


0 - ブタ

1 - ピン(またはインケツ、チンケ)

2 - ニゾウ(またはニタコ)

3 - サンタ

4 - ヨツヤ(またはシスケ、シホウ、ヨンタ、シニ)

5 - ゴケ

6 - ロッポウ(またはロッポ)

7 - ナキ(またはシチケン)

8 - オイチョ(またはハッポウ、チョウベ)

9 - カブ


5+6+8=ゴロンパ(カブ)のような語呂合わせもある。


おいちょかぶについては↓

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%8B%E3%81%B6



ある晩の出来事。


1000点札しか持ってないハヤシさんが

半分だけ賭けようと札を半分に折ってハッていた。


そしてハヤシさんだけが親に勝った。


親が「えーと、お前は500点だから、倍付けで1000点な」と

折った札を広げながら返す。


これが3周ほど繰り返された時、

「勝ち続けてるのに、全然増えねぇ」と

ハヤシさんが不思議そうに呟いた。