飯場暮らしがバレないように、
幼稚園も小学校も隣町に越境していた。
交通手段は車。車といっても母が運転する乗用車ではなく
鳶や土方を満載したマイクロバスだった。
(幼稚園の時は母が都バスなどで送り迎えをしてくれていた。)
車には道具も積んであるからセメントのニオイはもちろん
シートが白く汚れてる時もある。
汚れを払いながら、よいしょっと助手席に乗り込む。
助手席はシートが高い位置にあるから、
チビのわたしには一苦労なのだ。
運転は鳶兼運転手の川谷拓三似のリキさん。
朝、現場に行く途中に学校の門の前で降ろしてもらうのだ。
ドアtoドアでとても便利なのだが、とにかく時間が早い。
たまに門が開いていない時間についてしまうこともある。
真冬はかなりつらかった。
用務員のおじさんも不思議に思っていたに違いない。
こんな調子なので病欠はあっても遅刻はしたことが無かった。
帰りは祖父祖母の家に寄る。
祖父とサツマイモのふかしたのを食べながら
夕方のアニメを見て、現場帰りのマイクロバスを待った。
註:ここでのマイクロバス(トヨタ自動車の商品名)とは
10人乗りくらいで普通免許でも運転できるタイプ。