小学1年の時、先生に「お父さんの仕事」について質問された。

クラスのほぼ全員がサラリーマンだと答えた。

わたしともうひとりT君だけが違った。


T君は「大工」、わたしは「建設業」と答えた。


先生が嬉々として黒板にバカボンのパパのような

腹巻とハチマキ姿の太ったおやじの絵を描いた。


先生はきっと世の中にはいろんな職業が

あるんだと教えたかったのだろう。

T君とわたしの“お父さんの仕事”は

良い教材になったようだ。


父から「うちは高層ビルを建る建設業。大工や工務店とは違う。」と

いつも聞かされていたから、わたしはT君のお父さんと

一緒にされるのは納得がいかなかった。


納得もできず、かといって説明もできず。


「デブじゃないし、ハチマキなんかしてないよ。」と

心の中でつぶやくしかなかった。


大人になってからも、父の仕事の話になると

「鳶っていうと、梯子にぶら下がる?」とか

「川で丸太に乗る?」とか聞かれることが多かった。

次に多いのが「星一徹」だ。


面倒なので「そうそう」と答えている。