旅行中。
ずっとサングラスをかけてたダーリンの真似っこで、私もサングラスをしたりしていた。
馬鹿なりの、寄り添い方。
明らかにおかしいけど、少しでもダーリンに近付きたくて、そんなことを必死でやっていた。
夜。
宴会の時、さり気に自分の隣をキープしておいてくれたダーリン。
この時に肩を抱き寄せてくれた写真。
本当に幸せそうな顔の私がいた。
宴会後に皆で外出するってことで、途中で抜け出し、着替えて戻るとオババが待ちかまえていた。
『はい、チビちゃん、歌って!!』
と。
宴会はカラオケ大会になっており、B店がまだ誰も歌ってないから、と。
格好良く十八番の【少女A】を歌いたかったのに、【オカマ】と化したオトボケ店長とピトピが出現。
(2人とも、ふざけた化粧して、オトボケはミニスカートに網タイツだった)
見事にくわれちまった;
オマケに、何を思ったか、急に私をお姫様抱っこで抱き上げたオトボケ。
(今なら持ち上がらないだろうな;)
ストッキングを履いていたとはいえ、私のパンツ丸見えですからっ#
まぁ、お陰で【オカマに囲まれて頑張ったで賞】を頂けたが(苦笑)。
宴会が終わると、近くのカラオケバー的なお店へ。
ダーリン・私・にぃやん・カレンちゃん・エイゴ店長・他の店舗の女子2人で。
皆でワイワイ話して、楽しい時間だった。
が、2時間もすると、酔いの回ったエイゴ店長が【説教エイゴくん】になってきたので、部屋へ戻ることに。
ダーリン達の部屋で、改めて飲み直し。
とても飲みやすい、甘口のポン酒が出てきたのだが、私には非常に厳しい監視人がついていた。
ダーリンだ。
過去に私が潰れたのを知っていた彼が、私のペース管理をしていたのだ。
(過去といっても、この数ヶ月の出来事。自分で暴露してあった;)
一口飲んだら盃を取り上げ、何分かすると
『ん、良いぞ。』
と、また一口飲む許可が出て、ってな具合に(苦笑)。
たわいもない話しをしながら、皆で賑やかに、和やかにやっていた。
ほろ酔い気分になり、さぁ、これから…って時…。
なんと、オーナーが現れた。
一度は帰りかけたのに、再び戻ってくると、にぃやんを呼びつけた。
違う部屋の隅で、何やら説教。
どうやらにぃやんは、殴られた様子。
(にぃやんの母親の再婚相手がオーナー)
その後、私達の所へ戻ると
『明日も早いんだっ!皆、自分の部屋へ戻りなさいっ!!いくらハタチ過ぎてても、私は大事な娘さん達を預かっているわけだからっ!!』
と。
時間はまだPM11時前。
子どもじゃないんだから…とは思ったのだからが、オーナー命令では仕方がない。
皆は不満を感じながらも、解散。
ところがそのあと、自分の部屋へ戻った私は、とんでもないモノを目撃した。
部屋へ戻ると鍵が開いていた。
同室の誰かが、お風呂に行ったのか。
不用心じゃね?
てなことを思いながら部屋に入ると、他の人達は寝ていた…。
んっ!?
なんか居るっ!?
そこに居たのは…
なんと、オトボケ店長!!
オババの布団に2人仲良くおさまってる。
勿論、ここは女子部屋。
はぁっ!?と思ったものの、私が口を開く前に
《どぉしたの?》
とオババ。
『いやぁ、オーナーに追い出されたんすよぉ。』
と答えた横から
{{うん、そぉだよぉ♪}}
とオトボケ店長。
かなり酔っている様子の彼は続けた。
{{俺、オーナーに言ったもん♪}}
《何を言ったのッ!?》
{{別にぃ~♪知ぃ~らないも~ん♪♪♪}}
あの、人を喰ったようなスットボケた顔でそう言うと、あさっての方を向く。
急にオーナーが来たのは、オトボケ店長が何か関わっていたのは明らかだった。
意味不明なことを、いつもに増してスットボケた顔で言う、その顔にムカついたのと、酔っ払って、バカ丸出し感満載のオヤジの相手をするのが馬鹿馬鹿しくなり、寝た振りをした。
オババが
《ねぇえぇ~オトボケちゃ~ん~。自分のとこに帰って寝なよ~。》
etc.と暫くは言っていたが、彼は完璧に寝てしまったようだった。
私も知らぬ間に寝てしまっていた。
翌朝。
目覚めると、オトボケ店長とオババは、2人仲良く眠っていた。
私の隣の…シングルの布団で。
次々と目を覚ました他の人達が、驚いて2人を見ていた。
そう。
オトボケが一緒に寝ているのを知っていたのは、私だけだったのだ。
皆、あえて何も言わなかったが、非常に変な顔をしていた。
そりゃそうだろ。
前夜、皆でわいわいやっていて、気付いたら寝ちゃった…というならまだしも、同じ会社の社員とはいえ、自分達の全く知らぬうちに男が紛れ込んでいたのだから。
そこで目覚めた2人。
一瞬【しまった】って顔をしたオトボケ。
その場の空気を誤魔化す為に、すっとんきょうな声を上げる。
{{みなさんっ!!おはよぉございますっ。いやぁ~、 寝ちゃったみたいですなぁ~。あはははは。それでは、ども、おじゃますますたぁ~♪}}
いや、この場合、何をやっても誤魔化せやしないと思いますが;
そうしてアホは去っていった。
朝食の時もダーリンの横をキープした私は、早速オトボケ店長のことを報告。
その話しはダーリンからにぃやん、エイゴ店長達に伝わる。
皆でオトボケ店長を睨みつけていたが、彼は決して目を合わせなかった。
流石、小心者のコシギンチャクである。
帰りのバスの中、ダーリンにもたれて寝ていた私。
途中から、シッカリ腕を絡ませ、幸せな気分に浸っていたのだった。
後から思えば…。
よく堂々とやったもんだ;