ミュンヘンのようなテロ事件で「犯人はまた移民」というのが偏見ではなくなるほど、難民移民による死傷事件が連続して起きています。これでさらに移民への憎悪と排斥が加速、選挙前の極右政党の強い追い風になりました。私はドイツに帰化しましたが、国籍があるから完璧なドイツ人になって移民問題が関係ないというわけではない。「移民歴」があるドイツ国民で、ムスメも「移民歴を持つ親」なので極右の憎悪の対象です。
労働組合のデモに参加していたまっとうに生きる人達に車で突っ込んだのは24歳アフガニスタン人の男。イスラム過激主義的な動機みたいですが、2016年に未成年の難民としてドイツに入国、精神疾患もなく、犯罪歴もなく、就職して居住許可を取得していた合法な移民でした。何が言いたいのかというと、差別発言をしてもしなくても、腹ただしいからとアホのひとつ覚えですぐ「不法移民」とうたわず、落ち着いて情報を確認してから発信するべきだということ。
シリアの民間救助隊ホワイトヘルメットのドキュメンタリー
私は犯人が信じる「神」と、ドキュメンタリーに登場するような人達の信じる「神」は違うと思っています。イスラム教だけはなく、キリスト教、ユダヤ教、仏教、ヒンズー教…宗教問わず自分とは違う他の神を信仰する人達を「異教者」と蔑み、「赤子も皆殺しにすればいい」「絶滅してしまえばいい」と言える人の心にはどんな神も存在しない。
2015年に遡ってメルケル元首相が「これ以上は無理」と各州の多くの地方自治体が悲鳴をあげているのに、難民を受け入れ続けた結果が今のドイツの政情。当時と現在の移民規制に弱腰の政府に連続で起きた犯罪の原因があり、とても重い責任がある。私は元より右寄りです。国民と難民を含めた全ての移民を「区別」、滞在条件や資格が厳しい移民法に改正して欲しいと考え、どの移民も「ゲスト」として住む国の言語と文化を理解するべきですが、「全員必要ないから出ていけ」とは思っていません。
何年か前に見たテレビ番組のワンシーン、
難民として母親とドイツに来た女の子。公園で普通に遊んでいると旅客飛行機の轟音に突然、爆弾が投下されたような甲高い悲鳴を上げて逃げまどう。
今もその姿を思い出すだけで胸が痛みます。全てのアフガニスタン人が悪ではない。中には女の子のような体験をして、本当に助けが必要な人達もいる。だから規制を厳しくしても、扉は閉ざしてはいけない。
個人的には国籍、宗教、人種関係なくこんなテロや殺人犯は「そんな軽い刑期なの?」という結果になる裁判ではなく、やりたい人達に公開リンチされたらいいと思っています。