ー 来てもらうばっかりですぐ帰るとか文句言って、義父母の家に行かへんのは失礼ちゃうの?

 

義父母とオットーは、義母の父親が所有するアパートに住んでました。その近所にReihenhaus (ライヘンハウス、長屋)の1軒を買いました。一般的に、ある程度の基礎工事が済んだらあとはDYIDIYで、仕事帰りなどにマイホームの建築現場に行って内装などの作業をします。義父母や子供だったオットー達も毎日、現場に行っては作業していたそうです。

 

義父はそんな思い入れのある家を配色や位置など細かいことはうるさく考えず、セレブのように高価でもありませんでしたが、季節ごとに何かと飾りつけてました。細長いけれど奥行きある庭。本格的な庭園風にしたり、子供がサッカーで遊べるようにもできる。静かで立地も良く、そんな義父の飾ったものがある家は住み心地も良かった。多動がピークで大変だった時期でも何度かムスメを義父母の家に連れて行ったりもしました。

 

と、そんな頃もありましたっけ。あの頃はまだマシだったっけ。

 

が、義父母が変わりゆくと……

 

庭は雑草混じりの芝生が伸びたら刈るだけの雑な最低限の手入れになりました。隣家に比べると使われていないのがわかる殺風景さ。庭に飾っていたものは風雨にさらされて褪せ、テラスには苔が。

 

「いつ来てもここは同じやな」という言葉。思い入れある風景を『損ねないように長年保つ』意味と、『手をかけないで単にそのままにしているだけ』の意味があります。義父母は後者。

 

懸賞依存がなくなったと不思議に思っていたら、義母はノートパッドを買い、それでパズルなど安価なゲームディスクが”ブーム”になってました。リビングルームにはそのケースが数列分山積み。義父も義父で、以前から好きだった安価になったDVDのコレクションを同じように山積みにしている。軽く100枚以上はありました。

 

義父も義母も互いに「たくさんあるやろ」なんてこと言わない。もう2人ともが依存に手助けをする『Enabler(イネーブラー)』の状態。おまけに安かろう悪かろうの物を買うから、典型的な『安物買いの銭失い』。

 

朝遅くに起きて、昼を過ぎるまでノートパッドでゲームしたり、DVD鑑賞。それから買い物しに出かけ、ジャンクフードを食べ、安いからといって何かを買ってくる。それを、それだけを毎日繰り返している生活が、すでにそこからうかがい知ることができました。

 

家は2階建て、地下室があり、地下にはランドリールーム、パントリー、そしてサウナをつけたホビールームにできる部屋が1部屋あります。そこも昔のままの内装でただの物置き小屋と化してました。椅子、過去に義母が買った効果なんてない健康器具、私がプレゼントしたカバンなどで埋め尽くされ、部屋に入れても積まれた物をよけながら。私もそれに衝撃でしたが、オットーはさらにショックを受けてました。オットーには子供時代からの思い出があるのです。

 

でも、2人してショックだったのはこれだけではありませんでした……