たくさんの屋台と人で賑わうクリスマス・マーケット。

テレビをつけっぱなしの部屋で本を読む。

BGMと話し声で賑やかなレストランで食事を楽しむ。

 

『感覚過敏』のムスメにはそんなすべての音と映像が”フィルター”できずに全てを受け止めてしまうのです。おまけに人が感じるより強い刺激。それが否応なしに目や耳に飛び込んでくる。

 

― お家に帰りたい

― テレビうるさい、テレビ消して

― お腹いっぱいになったからレストランから出ていきたい

 

それが発達に障害があるムスメは上手く伝えられず、『多動』として表していたのです。

 

 

 

 

↑ このような場所でムスメは”フィルター”できないので全部に集中してしまい、全部を見る、やろうとすることで許容範囲を超えてしまう(目と耳からの大量の情報に疲れる)とどこであろうとラストシーンのようになります。この自閉症の男の子と似たような感覚だと思います。

 

思い返してみて一番感覚過敏が顕著に表れていた出来事…

 

例1) こども音楽教室

 

音楽と楽器に興味があったムスメ。療法になるかもと市立音楽学校の『キッズレッスン』に通いました。ママと一緒にボンゴ、タンバリン、木琴などを使って歌ったり踊ったり。でもムスメは毎回『暴走』室内うろうろ、棚の楽器に勝手に触る、ピアノの下で寝転がって1人で面白がる。先生が楽器を出すと一番に触りたがって物凄くグズる。落ち着かない娘とそれを止める母親。母娘で活動を邪魔していました。1時間のクラスでしたが、わずか15分後に教室を出て家に帰宅したのが2回続いたとき、通うのを止めました。

 

例2) IKEA(イケア)

 

土曜に家族揃ってイケアへ。入った瞬間からまた『暴走』が始まりました。買い替えたいダイニングテーブルや食器を見たかったのですが、オットーも私も家具そっちのけで店内を暴走するムスメを止めるのに必死。結局は見るのも見ず、他の客にじろじろ見られながら泣きわめくムスメを夫婦で引きずって退店。帰宅したころには家族全員がグッタリ…。

 

この2つの出来事が最悪の部類に入る出来事でしたが、ムスメにとってはそれ以上の地獄だったのでしょう。集団に慣れさせるためにとできるだけそんな賑やかなところに行ってましたが、悲惨なイケア事件後はムスメのために賑やかな場所には必要ではない限りなるべく行かないとことに決めました。

 

他にも掃除機の音に別の部屋に逃げる。飛行機の音でも隠れる。家の中でピシッという音がすれば『Was war das!?(あの音なに!?)』。冷蔵庫の稼働音。外の車のエンジン音。さらりと流せる何気ない生活音でもすぐに拾う。

テレビもほどほど、好きな音楽でも2,3曲聞けば終わり。オットーと私が会話をしていても横で耳を塞ぐ。

 

いっぱいサインを出してくれていたのに気づいてあげるのが遅くてごめんね、ムスメ。良かれと思ってしていたのが、まさか拷問だったなんて。

 

さて、幼稚園の話に戻るとムスメの幼稚園は小規模でした。園内もあまり広くなく、全部で3グループしかない。登録時には1グループ15人、保育士3人と言っていたのに、加配保育士さんが来たときには1グループ23人。どこに行っても子供たちとキャアキャアと大きな声。お絵かきをしようとも、周りで他の子供が別のことをやりだすとそっちに気に取られてお絵かきに集中できない。あげく園庭が安全基準を下回るということで半分ほどが使用不可。

 

加配保育士さんは何度も『イッパイイッパイ』になったムスメを園庭や比較的静かな場所である玄関に連れて行きましたが、常に子供たちの元気な声が聞こえ、元気に子供が遊んでいる。

 

ムスメが過剰な刺激を避けて気持ちを落ち着かせる『聖域』がどこにもありませんでした。

 

それではまた。