「小さな巨人」を見た元刑事の解説~第四話 | 刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座

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4月にスタートしたTBSドラマ日曜劇場「小さな巨人」

このドラマは警視庁捜査第一課を舞台にして、ある出来事で所轄に飛ばされた香坂真一郎刑事(長谷川博己)が小野田義信警視庁捜査一課長(香川照之)に嚙みついて本来の刑事としての反乱を起こすドラマです。

 

第四話を見た解説です。

 

その1  署長室と刑事課の部屋が良くできてる!!

 

 今回は署長室を署員がガサ入れするという現実には1,000%くらい考えられないシーンがありました。ガサ入れしている署長室をまじまじと見たんですが「良くできてる!!」と感動。美術さんの頑張りでしょうね、署員の配置表、表彰状、トロフィーなどが掲示してあったり、まぁよく仕上がっていました。本当の署長室と全く変わらないと思います。

 

ただ、ドラマでは署長が慌てて帰ってた時にエレベーターの6階ボタンを押して署長室に行きましたよね。あれ、ウソです。警察の署長室は全国どこの警察署でも一階の奥にあります。警察は現場第一主義なので現場に一番近い一階で陣頭指揮をとるようになっているのです。また、署長が在席しているときに扉が閉まっているシーンがあったと思いますが、署長の在室時は扉は必ず開いています。いつでも部下が入室できるよう開放されているのが署長室なのです。

 

また所轄の刑事達が詰めている刑事課の部屋も良くできていますね。ファイルの置き方、机の上の感じ、棚の段ボールな

所轄の刑事課ってまさにあんな感じなのです。

 

その2  前捜査一課長が殺人事件を隠蔽することは絶対にない。

 

警視庁の捜査一課長といえば就任の記者会見がテレビで流れるほど注目されるポストです。(ちなみに他の県では就任の記者会見自体やらないと思います。)言ってみればノンキャリアの刑事の中では超エリートなんです。

特に警視庁は首都東京の治安を守っていますから注目が集まるのも当然です。ちなみに私の警視庁の知人はふたりが捜査一課長になりましたけどやっぱり優秀な方でしたね。

 

そんな警視庁の前捜査一課長がいくら金に目がくらんだとはいえ、殺人事件を隠蔽するなんて考えられません。

そんなことをしたら刑事の魂を悪魔に売ったのと同じです。どんな警察官にも正義感があり、使命感もあります。金を幾ら積まれても魂を売るようなことはありません。まして警視庁の捜査一課長がそんなことをするはずがない。そもそもそんなにお金に困ってないですよ(笑)将来を約束されてますしね。ドラマではそのあり得ない話しが面白いとは思いますがやっぱりあり得ないかなーと思います。

 

その3  署長が飛ばされないのはおかしい。

 

 あれだけの証拠が揃い、犯人を海外に逃がそうとまでした署長が横滑りの異動だけで処分されないのは絶対におかしいです。

 確かに仮にこんなことがあれば何人もの幹部の首が飛びますし、警視庁をひっくり返したような騒ぎになるでしょう。

しかしさすがにこんな事件を隠蔽できないと思うのです。

 

ドラマでは「天下りを斡旋していたから」というのが理由のようですが、ちょっと現実的にはあり得ないかなというところです。

 

ところで刑事ドラマには警察組織の隠蔽シーンがよく出てきます。正直に言うとその昔はあったと思います。しかし今の時代は隠蔽がバレた時の方が大変なので「だったら早めに発表しよう」と考える幹部がほとんどです。誰しも隠蔽がバレた時の責任を負いたくないからです。

 

なんでも正直に、ウソをつかず、身綺麗にしておくことが警察社会では当たり前になってきているのです。ある意味、本当に良い時代になったんですね。近年、警察の不祥事が増えたように思われる方も多いと思いますが、増えたのではなく、ちゃんと発表するようになっただけなのです。昔から不祥事はありましたが内々で処理していたというわけですね。
しかしこれはどの役所も一緒でして公務員にとってはある意味「古き良き時代」があったというわけです。ある時から公務員どころか、民間企業も含めて「世知辛い世の中」になっているのはご承知のとおりです。

 

以上です。また読んでください。