「誰でもよかった」埼玉入間の女子大学生殺人事件 | 刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座

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こんにちは。元刑事のもりです。

またしても残念な事件が発生してしまいました。

15日午後11時前、埼玉県入間市の路上で近くに住む大学3年生の佐藤静香さん(21)が胸などを刃物で刺されて死亡しているのが見つかりました。警察によると遺体には複数の刺し傷があり、あおむけに倒れていたということです。

翌日午前1時すぎに近くに住む大学2年生の沼田雄介容疑者(20)が警察に出頭したため現場を確認し、緊急逮捕。沼田容疑者は「誰でもよかった」と供述。さらにマスコミの取材によると同容疑者は地元の消防団にも属し、将来は「警察官になりたかった」と話していたとのこと。
(警察官にならなくてよかったですが・・・)

報道を見ますと被害者はコンビニでのバイトを終え、自宅まで歩いて帰る途中でした。先の角を曲がるとすぐ自宅だったのですが、その手前の暗闇の路上で突然襲われて命を奪われました。


ふたりに面識はなかったようですが、容疑者が「コンビニにかわいい子がいる」と話していたとか、被害者も「最近誰かにつけられている気がする」と同僚に話していたとの報道もあります。


犯行動機についてはこれから明らかになると思いますが、現在の少ない情報からは

・容疑者はもともと自宅近くのコンビニで被害者の女性を見かけて興味を持っていた
・だいぶ前から彼女にターゲットを絞り、後をつけるなど行動を観察していた
・つまりいつかチャンスがあれば接触しようと機会をうかがっていた
・被害者の自宅近くの暗がりで襲ったが抵抗されたので刺して逃げた

そんなことが推察されます。


この容疑者が性的犯罪を犯す目的があったのか、ストーカーだったのか、これからの捜査で明らかになるとは思いますが、性犯罪の犯人は突発的に犯行に及ぶというよりは獲物を事前に物色して、機会を窺いながら犯行に及ぶという傾向があります。


つまり事前にターゲットを絞り、ターゲットの行動バターンを調査をして捕まらないための綿密な計画を立てて犯行のタイミングを見て決行する、ということです。


そしてそれが成功すると新たな獲物を見つけて狙います。それに成功するとどんどんスキルアップしていきます。


ターゲットも最初は抵抗しない小学生から始まり、中学生、高校生と拡大し、最終的には若い成人女性に移行していくというバターンもあります。


犯罪は一度成功すると「俺は捕まらない」という自信になるんですね。これは仕事と同じでスキルアップしている自分に酔ってきます。こうなると止められなくなります。これが連続犯行に繋がるのです。


「悪いことだから本当は止めたい、でも止められない。」


そんな状況になると自力で犯行を止めるのは困難で、警察に捕まる以外止められる方法はありません。


おそらくこの容疑者も「だれでもよかった」と計画性を否定していますが事前に計画を練っていた可能性もあります。


ただ、

・犯行場所が容疑者の自宅にも近く、容疑者の生活範囲での犯行である(通常、捕まる可能性の高い自分の生活範囲では犯行しない)
・犯行後すぐに自ら出頭した

などの状況を考慮すると「殺すのはだれでもよかったが、どうせ殺すなら彼女を殺そうと思った。」ということなのかもしれません。


いずれにしてもこの世の中、本当に常識では考えられない犯罪が起こります。


読者の女性も十分気を付けてくださいね。


日常生活の中で何か違和感や変化を感じたら特に周囲に注意を払うことです。タクシー代をケチって深夜に暗闇を歩いて帰ったり、人気のない場所をわざわざ歩いたりしないこと。極力、大通りの人の目のあるところを歩きましょう。何かあった時のために防犯ブザーも持ちましょう。自己防衛が自らを救います。



明るく優しいと評判だった被害者の女性。

両親や友人の気持ちを思うと本当にやりきれません。

被害女性のご冥福を心よりお祈り申し上げます。