オピウム
イブサンローランのオリエンタルパヒュームの名香であり発売後50年経った今でも廃盤にならず売られている。
伝説の名香『オピウム』。阿片という名の怪しくも美しい香水の物語
子供の頃から重いオリエンタルの香りやお香の香りが好きだった。
毎日線香の匂いを嗅いでいたからかもしれない。
子供は肌が荒れるから使っちゃいけないと言いながら、大人たちが楽しそうに鏡を見つめ化粧をしていた時の匂いであり憧れだったからか…
センセーショナルな名前でもあり
私の好きなオリエンタルの香り
ずっと憧れていた香水。
香りを試す機会もないま
阿片(アヘン)というネーミングに惹かれ
購入してしまった。
香りの特徴を紹介すると
イブサンローランのHPより
トップノート:マンダリン、ベルガモット、ミュゲ
ミドルノート:ジャスミン、カーネーション、ミルラ
ラストノート:バニラ、パチュリ、オポポナックス、アンバー
つけてすぐはオリエンタルフローラルの香り。
しつこくなく少し酸っぱい香りがするのは、マンダリンやベルガモットが入っているからか。
ミュゲ(すずらん)の香りが強く爽やかで「ザ・昔の香水」。本物のすずらんも青みがかったスーンとする透き通った香りなので上手く表現されていると思う。
遠くで誰かがお香を焚いているかのようにふわりと香り、そのお香の元へ体が自ら足を運ぶかのように匂いが全面に出てくる。
最初は京都の土産物屋のどこからともなく香る匂い袋のような軽い香りが、毎日掃除され手入れの行き届いた文化遺産であろう寺院にいるかのような厳(おごそ)かな香りに変わる。
瞑想や宗教行事にも使われる甘くスパイシーなミルラの香りが全面に出てくるからだろう。
ほんの少しジャスミンやカーネーションの香りが加わることで女らしさは忘れない、たぶん聖母マリアのような香りとなる。
奥の森の大木が呼んでいるかのように。深く重い森林の香りが近づいてくる。
墨汁の香り、湿った土の香りとも表現されるパチュリが顔を出したのだろう。
それにバニラやアンバーといった甘い香りも混ざりあい、厳かなお香の香りは残しながらも薄暗い大木の元で草花の香りも混ざった甘い香りを感じながら瞑想しているかのよう。
オポポナックスのまるで赤ワインのコルクの匂いのようなさわやかさにバニラやアンバーが混ざるのでこってりとした甘さではなく、パチュリも加わっているため甘い香りのする男性に包まれているような甘美な世界に包まれる。オポポナックスとパチュリが甘さをセーブしてくれるためむせ返るような甘さにはならない。
陰と陽で分けるとオピウムは「陰」の香り。
たおやかでまったりしっとりとした時が流れる。
活動的に動きたい日には似合わない。
ゆったりと時が流れる時間に使いたい。
石けんや水のように軽いフローラルの香りが主流の昨今、この香りが万人受けするとは思えない。
甘くて重いオリエンタルの香りが好きな一部のマニアのみだろう。
この甘さと重さは冬にピッタリな香水だと思う。
夏に使用したことがないから何とも言えないが、むせ返るような夏の匂いと暑さ、汗と体臭が混ざり合い、ミステリアスでエロティックまさに官能的な香りになるのではないかと思う。
冬の厳かな陰の香りではなく
夏に足首へ少量つけるだけで陽の香りに変化しそうだ。
あくまでイメージだが。
甘酸っぱいピーチの香りの強い10代にはまず似合わないだろう。
さわやかなフローラルの香りがする20代にも使いこなすのが難しいと思う。
体臭が少し香ばしくなってくるアラフォーから馴染んでくる匂いではないだろうか。
ルームフレグランスや寝香水として使う分には年齢は関係ない。ヨガや瞑想、心を落ち着かせたい時にこそ使って欲しいオリエンタルな香り。
トップ、ミドル、ラストと香りが変わる瞬間も堪能して欲しい。
フランス語で阿片(アヘン)と言う名を冠したこの香水。そのインパクトさに負けないぐらい阿片のような中毒性。オピウム(阿片)の香りを匂わせて他人を中毒におとしいれるのではなく、オピウムを吸ってしまった自分自身がこの中毒性に溺れてしまう。
そう、まるで阿片のように。
オピウムの官能的な世界に
お試し用 300円クーポン有り