中国書記官スパイ騒動が飛び火
Aは日中関係をテーマにした有料のセミナーやシンポジウムなどで多数講演。参加した経営者に声をかけるなどして、農業など中国での開発事業に関する出資話を紹介していた。スパイというより、ブローカーだ。集めた出資金は総額数千万円に上るともいわれている。その延長線上に浮上したのが、鹿野道彦農相や筒井信隆農水副大臣が進める“対中輸出拡大ビジネス”への浅からぬ関与なのだ。一時、国会でも問題になった“事件”である。
「鹿野大臣と筒井副大臣は、一昨年から、日本の農作物や牛肉の展示会を中国で開催し、商品として売り出す構想の準備を始めました。億単位に上る展示会場の賃料や工事費をまかなうため、日本の出展企業から入会金と会費(25万~150万円)を募集。窓口として、『農林水産物等中国輸出促進協議会』なる社団法人を設立した。鹿野大臣は、その代表理事に就いた元国会議員秘書に異例の『農水省顧問』の肩書まで与えました」(政界関係者)
ところが、原発事故の影響で中国側は日本からの輸入を制限し、出展企業も集まらない。
「そこで筒井副大臣が官邸に掛け合い、野田首相が昨年12月に訪中した際、展示会施設を視察して“ハク付け”した経緯がある。このビジネスで中国側とのパイプ役として動いた人物こそ、スパイ嫌疑がかけられているAなのです」(同)
そもそも、この話には権益を侵される農水官僚が当初から反発し、怪文書が出回ったほか、今年2月以降、国会で問題視されるなどゴタゴタ続き。揚げ句、スパイの関与だから、野田政権にとって致命傷となるのは必至だ。
さらに、事情に詳しい関係者がこう言う。
「このビジネスには、サプリメントを中国で売り出したい製薬企業などが多額の出資金を出していて、入会金や会費とは別に総額2億円近いカネが集まったといわれています。その一部について、Aが持ち逃げした可能性も指摘されている。永田町では、鹿野大臣が出馬した昨年8月の民主党代表選の選挙資金と関係があるんじゃないか、なんて噂まで飛び交う始末。出資企業はカネを返してくれと怒っています」
スパイと現職閣僚がつながる金銭スキャンダルに、自民党の鼻息は荒い。29日の外交部会ではさっそく、対中ビジネスとAの関与が取りざたされ、「すぐにでも予算委員会で追及すべきだ」という意見が飛んだ。「問責にかけろ」「前田国交相、田中防衛相に次ぐ3人目だ!」の声もある。
いよいよ、万事休すのドジョウ首相。
消費増税や小沢会談どころではなくなってきた。
http://news.infoseek.co.jp/article/02gendainet000169949