浮気
朝からとても緊張していた。
約束の時間はお昼の12時。
初めて会うその男性は、
華奢な体型で笑顔が爽やかだった。
声の印象とはちょっと違う。

最初にそれぞれ
自分の名前を告げて挨拶をかわした。
それからコーヒーをご馳走になりながら、
他愛もない会話を少々。
好きな色だとか、
普段来ている洋服の好みだとか・・・
彼に促されて
別の場所に移動した。
彼の指が私の髪に触れると、
私は自然に目を閉じた。
そのあとは、
彼のなすがまま・・・
時折、
彼が優しく問いかけてくる。
考えてみれば、
こういう時いつも私は
遠くなりかけた意識の中で
頷くだけだった。
「そこ」とか、
「もっと」とか
言ってしまってもいいのかな?
・・・やっぱり言えない。
不意に体を起こされ、
彼の手が肩に置かれる。
「お疲れ様でした。」
以上、
美容院での
シャンプーまでのお話し。