毎朝、50分の揺れる通勤バス。


乗るときはいつも満員だが、私には密かに狙っている座席があるんです。


それがバスの一番後ろにある4人掛けの座席。



ここは「詰めてもらえれば座れる」という希望の光がある、いわば私の指定席。



ちょっと前までは、「詰めてもらえますか??」なんて言えなかったんです。


図々しいと思われたくなくて…


今日もその座席を確保すべく、乗車と同時に後部座席に向かうと…


そこには、まるで城の守護神のように鎮座する太めの女性がいたんです。


膝の上には荷物を置かず、隣の座席にバッグをドンと置き、


1人で2人分のスペースをしっかり確保している



満員の中、立っている人たちはもう限界のギュウギュウ詰め。


にもかかわらず、この女性は荷物と共に完全防備。



心の中に


「同じバス代を払っているのに…」


という小さな不満がふつふつと湧き上がりました。


そうして一瞬の沈黙の後、私は決断しました。


サッとその荷物を移動させ、空いたスペースにさりげなく腰を下ろしました。


「お邪魔します」と自然に微笑みながら。


女性は驚きの表情を浮かべましたが、何も言わずに私を見つめただけ。



勝利を手にした私は、後部座席にしっかり座って50分の通勤を快適に過ごしました。



相手のことにモヤモヤするということは、


それを自分が自分に対して許せていないこと


満員バスの中で

ドーンと座っている人をみて


モヤモヤするということは


私も

みんながギューギュー詰めで立っている中


ドーンとゆっくり座りたかったんだろうなー。


ちょっとスッキリした自分がいました。