④自己株式の取得

従来は原則禁止で、株式消却やストック・オプションなど、一定の目的のために株式を使う場合にのみ、例外的に認められていました。また、取得を認められた場合でも、「相当の時期」に処分することが求められていました。しかし、敵対的買収への対抗策や持ち合い株解消の受け皿、さらにROE(自己資本利益率)向上などの目的から、2001年に自己株式の取得が解禁されました。実行するには株主総会での決議が必要で、取得総額についても制限が定められています。


会社が自分の会社の株を買う、つまり会社が自分の会社の株主になるとは、自分の会社が自分の会社を食べているような感じです。たとえて言えば、タコが自分の足を食べているような感じなのです。実際に、自己株式を取得するとBSの規模が小さくなっていきます。


自己株式の取得は営業活動ではありませんので、PLは何も変化しません。自己株式は現金で買い取るので、BSの左側の現金及び預金が少なくなります。BSがバランスするのは、BSの右側の純資産の部の自己株式にマイナスが入るからです。BS全体の規模も同じだけ縮みます。資本金が減ったわけではありませんが、自分で自分を所有していることをマイナスで表しているのです。直接法CSも間接法CSも、財務CFの自己株式取得にマイナスが入ります。


自己株式を制限する理由として資本が維持できなくなる可能性があります。これは例えば資本金50万円で、資産がすべて現金の会社があったとして、この会社が自己株式50万円を取得した場合を考えてください。この会社は、何もない状態になってしまいます。自己株式の取得を制限する理由がおわかりいただけると思います。