事業承継は大きく経営権の承継と、財産の承継とに分けられます。

  経営権の承継とは、具体的には経営者である親が保有する会社株式を子たる承継者に移転することです。

 

  財産の承継は相続と同じように不動産や銀行預金などを承継者に移転することです。

 

 違う観点から書いてみますと、経営者の親が死亡したとき、例えば後継者たる長男には会社株式(自己株式)を移転させて、会社の所有者たる地位を長男に移転します。そして、長男は親から引き継いだ会社の新たな社長として経営を切り盛りしていきます。

 

 また、会社の経営にタッチしない次男や長女には親が所有していた自宅や銀行預金などを相続などにより移転させることにより、長男と次男・長女とで公平性を確保するようにします。

 

 ただ、現実には次のような問題が起きることがあります。

 (1)親の財産は自社株式だけなので、長男たる後継者には財産を移転できるが、その他の次男・長女には財産が移転できず、次男らから不満が遺留分請求というかたちで爆発する。

 

 (2)長男には自社株式、次男・長女らには不動産や銀行預金を移転できたが、長男には換金性の高い資産が移転されないため、相続税を支払うことができない。

 

  などなど。