2024.3.11, スペルミス等を修正した。

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0. 概要

2021年4月から日本で接種されたCOVIDワクチンはmRNA(messenger Ribo Nucleic Acid)方式である. 本方式ワクチンは今回のpandemicで初めて実用に供された. 緊急事態を極小化するために特例認可されたもので,長期にわたる安全性の検証が済んでいない. 本論は超過死亡数の変化から, 中長期間の安全性を論じた.

The COVID vaccine that has been inoculated in Japan since April 2021 is based on an mRNA (messenger ribo nucleic acid) method. The method was put into practical use for the first time during this pandemic. Special approval was granted to minimize the emergency situation. However, long-term safety has not been verified yet. This paper approaches long-term safety from changes in the number of excess deaths.

1. 超過死亡数
 日本の2000~2023年の超過死亡数[1]をCOVIDワクチン接種との関連を解析する. 解析開始日を2000/1/9, 終了日を2023/9/24とする. 時間スケールを2000/1/9 からの経過数(elapsed weeks, [eWK], 整数値)とする. 日本の超過死亡数の変化を図1に示す.

Figure 1. Excess deaths (mortality) in Japan.

 

図1の孤立ピークが2011/3/13 (583 [eWK]) である. それは東日本大震災による. 本ピークはワクチン接種と関係なく「外れ値」として解析精度を低下させるので,前後週の平均値で置換する. 
日本のワクチン接種開始日は2021/4/1 ( 1108 [eWK])である. 最初にeWK=[0, 1108] 区間で図1の直線増大成分(老齢化によるもの)を除去する. 
 増大成分の関数を直線近似するとf(x)=8.6x+1.8E4である(以下×10^4をE4と書く,記号"^"はべき乗を表す). 二次関数近似との差は微小である . 

Figure 2. Monotonically increasing function bias  of  excess deaths.

2. 平均気温
 超過死亡数は死亡数から推測死亡数を減算したものである[2].  推測方法は複数ある. CDC(Centers for Disease Control and Prevention; アメリカ疾病予防管理センター)のFarrington algorithmn, Euro MOMO* network のFullMOMO model が良く用いられる. 文献[2] に表式が示されている. 
*) EuroMOMO is a European mortality monitoring activity,  
aiming to detect and measure excess  deats related to seasonal influenza,  pandemics and  other public health threats.

 推測処理をした後の死亡数変化を見ると季節変動の存在を否定しがたい.  季節変動は平均気温に反映されるので,日本の平均気温を求める.
 人口の多い自治体は,東京区部,横浜,大阪,名古屋,札幌,福岡で合計2,220万人である.
比率は0.4388, 0.1703, 0.1241, 0.1051, 0.0890, 0.0727 である. 気象庁の過去の気象データ[3] から週単位の気温をダウンロードし,比率をweightとして,日本の平均気温を求めると図3を得る. 


 Figure 3. Average temperature of Tokyo, Yokohama, Osaka, Nagoya, Sapporo, & Fukuoka from 2000 to 2023.

 平均気温も僅かに増加している. 直線近似関数はf(x)=1.5E-4 x+16.0 である. この傾きは補正しない.

 

3. 超過死亡数と平均気温の変動部分の比較
 ワクチン接種前の超過死亡の直線的増加部関数をeWK=[1108, 1237]  まで外挿して,超過死亡数から減じる. これは接種が無い場合の超過死亡数のback-groundを予測している. 
 平均気温には外挿部の測定値がある. 高温のときに超過死亡数が減る「逆相関」性があるので,scaled_T=251-(T-16), 
とした. 係数251はグラフを重ね合わせるためのparameterである. そうして図4を得る. 


Figure 4. Corrected excess deaths by the bias coming from population aging; 

and A curve obtained by subtracting the average temperature of five major cities from a constant.

 図4の両曲線の相関はR^2=0.72である. 本相関値は無視できない. 両曲線の差の2乗値を横軸をeWKで描き,何時から差が拡大したのかを調べる.


Figure 5. Square of the difference between both curves in Figure 4 on 1000-1237 [eWK] period.

 図5から両者の差=超過死亡数の増大はeWK=1140, 2021/11/14 の後から始まる. COVIDワクチン接種開始日の7.5か月後である.

4. 多変量関数
4.1 定義
 原因と結果を結ぶ多変量関数について考察する. 時系列原因現象をf(x),結果をg(x)とする. xは経過時で,離散値であるのでx(i)と書く. 
 複数の原因の場合,{fv(x),v=1,2,...}である.  関数J()により,J(fv(x),v=1,2...)=g(x)となれば「原因と結果を結ぶ関数」の可能性がある. 関数形が不明では,相関は偶然の可能性がある(相関は因果関係を意味しない). 
ゆえに,平均気温と超過死亡数を結ぶ関数を探索する. 
 関数J()は複数原因に均等に係るより,個別の原因に異なる方が自由度が高いので,
{Jv{fv(x)},v=1,2,…}=g(x) とする. 以下,Jv{fv(x)}=Fv(x) と書く.
 Jv()関数は非線形関数であるが,大小関係,fv(x(i)) < fv(x(j)) を保持しなければならない.
そのような関数群の中にsigmoid関数がある. ここではそれを採用する. 
 Fv(x(i); w,y)=1/[1+exp{-w(x(i)+y)}],        (1)
sigmoid 関数は2 parameters (w,y)を有す. それで非線形の性質を決定する. そこにv≠v'が入っている.
 次に{Fv(x)} を統合する関数J'() を定義する. 
 J'(Fv(x),v=1,2...; m(v))=∑v m(v)Fv(x)+const.    (2)
"m(v)"は関数値Fv(x) に掛かるweight で,式(2)は線形結合である. 
 このweightは式(2)ではscalar係数であるが,長期時系列データでは{m(v;i)} なるvector 係数であるのかも知れない. 長期現象で,複数原因の比率が無変化とは考えにくい場合がある. 

4.2 parameters 決定
 関数形を定めるparameters を決定する. 結果g(x) との差の2乗をEとする. 
 E=∫{g(x)-J'(Fv(x),v=1,2...; m(v))}^2,        (3)
をparameters {w,y,m(v), const}で偏微分し,δE=0 (停留値)を取るようにする. この操作は3-layers (Perceptron type-) neural network (NN) のforward/back-propagation learning [4] である. 
 NNには入出力があり,入力側のデータをdescriptors,出力側のデータをteaching data という. 
式(1,3)ではdescriptors は{fv(x)}, teaching data は{g(x)}である. 
 NN内の計算はsigmoid関数の性質から[0,1] 区間で成される. 外部データとの間にmin-, max- values を使用したscaling 操作が必要である.
 NNにはlearning  という機能生成機能がある. Learningの一つがback-propagation (BP) である. 
BPにはforward-, back- propagationの2 steps がある.

5. Neural Networkの機能生成
 NN各層のneurons のforward-propagation 機能を示す.
・第1層 入力データ{x}を[0.1,1] 区間にscaling する.
第1層の最後のneuron には入力は無く常に1を出力する. これをbias-neuronという.

・第2層 1,2 層間のneurons には1:1 の対応関係がある(これは本来のNNではなく, descriptors とteching data 間の関連を調べるために, 導入した制約条件である).   第2層の最後もbias-neuron である.
第2層のneuron の入力は第1層の対応neuron とbias-neuronの出力である.
 その値に結合加重WIj (suffix "I"は第1層neuronの番号,"j"は第2層のそれ)が乗じられる. WIjは正負の値を取る. WIjの初期値は[-0.3, 0.3] 区間の一様乱数である. 
第2層neuron に入力する第1層のneuron 出力数は2である.両者は加算される. 加算値はsigmoid 関数で変換される.  そこで大小関係を保持した非線形変換が成される.

・第3層 第3層のneuron は1個である. このneuronへの入力は第2層neuronsの出力全部である.
 この結合はWjk (k=1に限られる)である. Wjkの初期値も一様乱数である. それらの総和が取られ,そのままneuronの出力(Out) となる.
 入力データ{x}がvector であると,Outもvector である. Vectorであることを明示する場合{x(i)}, {Out(i)} と書く.

NN各層のneuronsのBP機能を示す.
・第3層 第3層neuron 出力Outと[0,1] 区間にscalingした{g(x)}=vector を意識して,{TE(i)} と書く. ゆえに,
差vector, {w(i)}={Out(i)-TE(i)} が定義できる.
 Learningの 終了は∑i{w(i)^2} < threshold value (~0.01) とすることである. 
 そのために第2,3層間のWjk 結合,これもvector なので今後は{Wjk(i)}と書く. 
{Wjk(i)}→{Wjk(i)-eps*(Out(i)-TE(i))*Hj(i)},     (4)
と置換する. "eps"はparameter で0.1程度の小値である.
Hj(i) は第2層のj番目のneuron である. これで大値を出力したneuron 間の結合が差によって補正される. 

・第2層 BPの表式は,
  δHj(i)=Wjk(i)*Hj(i)*{1-Hj(i)},        (5)
{WIj(i)}-->{WIj(i)-epsh*δHj(i)*XI(i)},        (6)
である. Hj(i)*{1-Hj(i)}項はsigmoid関数の微分形である.
XI(i)は"I"番目の第1層neuron の出力である. "epsh"は小値のparameterである.
 式(4~6)は最急降下法をeps, epsh parameters でダンピングしたものである. 最急降下法の方向がLearning の初期に必ずしも正しいとは限らないためである. 
 NNのLearning はδE<1.0E-5 となればBPなしのforward propagation のみで{g(x(i))}={Out(i)}となる. 
δE<1.0E-2程度では, forward propagation のみでは{g(x(i))}~{Out(i)}である. 
 この場合はBPを{Out(i)}計算時に付随させる. 
それはNN出力誤差を繰り込むことになる. そういう計算法を1-step predictionという. 
 本NNは元Perceptronのfitting機能を制約したものであるので,1-step prediction が到達点となることがある. 
 本NNの目的は,変遷する現象にneuron群がfittingする時の,parametersの時間変化に与える影響を図示化することである. 

それによりdescriptorsの妥当性を検定する.
 

6. 平均気温データの記述子性
 平均気温データのみを記述子として,超過死亡数をNNが算出できるか, を試験する.
NNの出力{Out(i)}とteaching data {g(x)}を図6 に示す.

 Figure 6.  Testing whether NN calculates excess deaths, when the descriptor is an average temperature.

 図6ではNN 内部の計算値をそのままplotした. それを見るとNN は平均気温データのみでも超過死亡数をある程度再現する. 

図の右端の超過死亡数の増大はBPの1-step prediction の効果である. ただしeWK=1144 以降の精度は低下する. 
 NN内部の{WIj(i)},{bias-neuron's weight in 1st layer}, {Wjk(i)},{bias-neuron's weight in 2nd layer}   
の値の変化を図7 に示す. 


 Figure 7. Changes of weights between 1,2-layers; and  those of between 2,3-layers.

図7下,2,3層のweightsはeWKの変化に依存しない. これが本来のNNのweightsの挙動である. 
図7上,1,2層のweightsは平均気温,bias neuron共にeWKの変化に激しく振動する.
この挙動は,第3層neuronの出力Out(i)とteaching dataとの差をBPでweightsに繰り込んでいることを示す. 

典型的な1-step predictionである.
 ゆえに,図6の青,赤の両曲線の一致性に有意性がない. bias weights のeWK=1144 以降の上昇曲線は,
eWK={1,1144] 区間が平坦で,eWK={1144,1237] 区間に上昇する「新」記述子の必要性を示唆している. 

7. 平均気温データ+折れ曲がり直線の記述子性
 ここでは,水平線がXp[eWK] 点で右上方向に折れ曲がる線を,折れ曲がり直線という. Xpはparameterで,
Xp={1, 782, 1108, 1140} 点で計算した. その結果Xp=1140 が最もfittingした.  図8 にNNの出力と超過死亡数の差を示す. 

図9,10 に2記述子とbiasのweightsの変化を示す. 

 Figure 8. On use of 2 descriptors, average temperature and a linear increasing function; 
plots of NN-simulation and excess-deaths.


 Figure 9. Weights between 1,2-layers.

 Figure 10. Weights between 2,3-layers.

 NNの出力と超過死亡数の差は記述子が増えると改善される. 2,3層間のweightsの時系列変化は良好で, 1,2層間のbias weightの変化は改善された. BPによる結果の繰り込みが減っている. 平均気温と折れ曲がり直線のweights は満足できるレベルである. 
 この結果は図6 の「見かけ上の一致の良さ」とは違い有意性がある. このsimulation は「折れ曲がり直線の存在性=超過死亡の増大現象」の存在があり得る,ことを示す. 


 本現象のより詳細な追跡へのヒントは1,2層間のbias weight の右端の複雑なピーク群にある. そこを,時間軸を拡大して調べる. 1049-1237(2023/9/24) [eWK] を図11に示す.

 Figure 11. Difference between excess deaths and scaled average temperature for 1049~1237 eWK.
2 approximated functions are got from the difference curve.

 図11 には人口の老齢化による死亡率の上昇,平均気温の周期的変化が減じられている. 
それでも,このような波が存在し,かつ直線,二次曲線で近似すると,死亡率が上昇している. それを調べる.

8. 詳細なCOVID データ
 COVID-19の罹患者数(cases),死者数(deaths),ワクチン接種(fully vaccinated & booster)の日毎の変化は
our data world [5] に,各地域に分けて公表されていた.
我々は,日本の状況を2020/2/21  から2023/5/14 までをdown load した. そのデータを基に超過死亡数を解析する. 
 2020/2/21 をelapsed day (eD) 0 [eD] とすると,2021/2/21 は1049.714 [eWK]である. 
2023/2/21は1096 [eD], 1206.286 [eWK] である.
図12~14にcases, deaths, vaccinated, booster injections の日変化を示す. 単位は[人], [ratio per population]
である.

 Figure 12. COVID cases and deaths in period, 0~630 [eD].

 Figure 13. COVID cases and deaths in period, 600~1237 [eD].

Figure 14.  Fully vaccinated and booster injected persons 
in Japan. The unit is the number of injected persons per populations.

図12,13は2図でCOVIDのcases, deathsの状況を経過日[eD]毎に示した. casesとdeathsの員数は違うので,スケールを右,左に分けた. 典型的なピークには1~6の番号を付けた. 図14はfully vaccinatedとbooster の接種状況をeD毎に示した. スケールは人口に対する比率である.

 図14の正規分布類似の変化からワクチンは480+21=501[eD] 以降に効果を発揮する, と考えられる.
図12のピーク2, 3を比較すると,ピーク3のdeaths/cases が2に比べ小さくなっている. ワクチンの重症防止効果が認められる.

 図13から630~690[eD]の期間はCOVIDは終焉したかのような状況である. しかし,それ以後720[eD]まで急激なcases増加が見られる. Fully vaccinatedの2nd peakは ~600[eD]である. これはワクチンの有効期間~90[eD]を暗示している. 

誘導されたIgG 抗体は少なくなっているかも知れないが, B細胞に記憶されている抗体産生機能が働いていないか, SARS-CoV-2ウイルスの変異が速く, 抗体が有効でなくなっている, かのようである.
 普通booster 接種はfully vaccinated の720-600=120[eD]後には行わない. 同一の抗原 (第3回目の接種は最初は2回目と同じ抗原が使用された. その後に変異株対応のワクチンが使用された) に対して頻繁にワクチン接種を行うと, 
抗原に親和性を示すIgG のsubset, IgG4 抗体が増えて,病原体を完全除去することが困難になる. しかし,現実にはbooster 接種が行われた. 
Booster は接種後,速やかに抗体を増やすから,720[eD] 以後のピーク4のdeaths値は抑制されている筈であるが,ピーク3程ではない. SARS-CoV-2ウイルスの変異と考えられる. 

 

9. NNよるCOVID deathsと超過死亡数との関連
 COVID deaths 数は図13の左側スケールで見ると最大~450である. 人口老齢化と季節変動分を除去した超過死亡数のピーク値は図11から~8000である. 
 それゆえ,COVID deathsを超過死亡数の記述子にする,のは変に思われるかもしれない. COVID重症患者は多くの医療資源を費やすので,COVID以外の患者の治療に多大の影響を与える. それを踏まえた上で,本論文では,
COVID deaths を日本の医療体制に悪影響を与えた記述子とした. 図15はNNの2記述子,COVID deaths, 線形関数とteaching data を示した.


 Figure 15. Descriptors (inputs) learned by NN and the training (teaching) data.

 時間スケールは[eD]で,縦軸スケールはneuron 値である. 本図からCOVID deathsとteaching data には形状的類似性がある.  相関を計算するとR^2=0.34 である. 両者は~30 [eD] ズレている. 類似性はあるが,両者を同じ性質とはできない. 
 第5節のNNでlearning を40k 回行った結果を図16 に示す. 


 Figure 16. NN-outputs after 40k learnings; the teaching data, and difference.

 NN出力をteaching dataに近似させることは,線形関数を記述子に導入すれば可能である. その一致性がどこから来ているのかをNNの各層間のweights の時系列変化を追跡して調べる.
 図17,18は1,2-, 2,3-層間のweightsの変化を示した. 


 Figure 17. Changes of weights between 1,2-layers.

 Figure 18. Changes of weights between 2,3-layers.

 図17では660[eD] 以前ではweightsの変動は小さく,記述子に有意性がある. 660[eD] 以後は4,5,6 の各ピーク毎にCOVID deaths, Linear, bias 毎に変動する. 各ピークの状況が異なるように見える. Linearのweightが階段状に上昇している. 
 図18では記述子の変動はほとんど無い. わずかにLinearが各ピーク毎に変化している. 
 Linear記述子のピーク毎の変化は,医療体制の逼迫の度合いが相違していたことを示す,と考えている.  図17,18のweightsの積×関数値がLinear成分の超過死亡に及ぼす影響である. 関数値増大をweights が打ち消していないので, 今後も超過死亡数が増える. Linear 成分は何か?を考察する.

10. ワクチンの効果
 COVID cases, deaths data からワクチンの重症抑止効果(今回のワクチンはIgA 系を強化せず初期感染を防止しない)を推測する. ワクチンはfully injection 後 21日目から効果を発揮すると言われている. 月日が経過すると誘導されたIgG 抗体は減少する. 抗体の半減期は当初8か月と言われていたが, 次第に短くなり, 最近では90日である. 
 それを使用し, 図14 からワクチンの効果を計算すると, 図12,13の実測deaths 曲線とは合致しない. 
 不一致は, IgG抗体が残っている筈なのにdeaths 曲線が上昇してしまう点である. 指数関数をGaussian に変えても合致しない. 
 試行の結果, 有効期間を[21, 90]日で値1, それ以外を値0 とする(凸状)関数とした. 3か月を経過すれば変異株が優勢となり誘導抗体が無効化する, という考えである. 


 Figure 19. Comparison with calculated and observed deaths curves. Whole curves  are scaled in [0,1].

そのワクチン効果関数をVeff(x), x [eD] とし, 
Calc.1 Deaths (x) = case(X)*{1- k*Veff(x)},     (7)
k={0.1, 0.35, 0.5, 0.7, 1},  X=x-14 で計算した. 
Calc.2 Deaths (x)=case(X)*k2,        (8)
k2=0.005 で計算した. 
 最良の一致はCalc.1 & k=0.5 で得た. それを図19 に示す. 図19の両曲線の相関はR^2=0.864である. 

最初, ワクチンの効果はk=0.9~0.95 と言われていた. 臨床ではそのレベルの差があり得る. 
 1100 [eD] まではワクチンの重症抑止効果が認められる. 
 しかし, Calc.2 の定率をcases に乗じた場合(R^2=0.859)との差は微小である. それは治療法も重症化抑止に働いたことを示している. それをNNで調べる. 


 DescriptorsはCOVID cases, ワクチンの有効性(式(7)), bias (一定値をこの期間の「治療法の変化なし」として代用)である。ワクチンが十分に働かない400~500 [eD], データが十分にない1100~ [eD]  期間は; 
“有効性~小値~bias” となる. 

その期間のNNはワクチン効果と治療法の区別ができない. この性質を考慮して図20, 21を解釈する. 


 Figure 20. COVID deaths calculated by cases and vaccination effects (eq.(7)) and medical treatments.

 Figure 21. Changes in effects of descriptors on the number of deaths over time. The reliability is in 500~1100 [eD] period. 

NNのdescriptorsと治療法は共にdeaths 数を抑止した, と考えられる. 

11. ワクチンの副作用
11.1 日本の2024/1の状況
 日本ではワクチンの副作用は, 接種直後のanaphylactic shock ということなっていて, 接種後7日以降の症状には適用されない. COVID mRNA ワクチンの中長期の副作用なる概念が無い. しかし臨床医の一部には, 今回のmRNAワクチンが心臓・血管循環器系, 中枢から末梢神経系に及ぼす影響, 自己免疫疾患群, 急速進行癌を, 疑う方々が次第に数を増している. 世界的に見れば相当数の研究者がmRNAワクチンの中長期の副作用に関する論文[6] を発表している.  

11.2 副作用の仮説
 ここからは筆者の仮説である. 中長期とは, ワクチンの有効期間90日を過ぎた時からの影響であろう. HPVワクチンの薬害の論文[7]を見ると35か月後の例がある. 
 第3節の議論では7.5か月である. それで180日以降に症状が発現してくると想定した. 


 Figure 22. An assuming function of vaccine side effects;
The effects is maximum at 180 days after the injection.
Side effect increases exponentially until the maximum day; 
and the effect decreses exponentially after the maximum.
 
 図22 の計算法: A=-Ln(0.5)/180, 
  f(t)=Cut{exp(-A|t-180|)},         (9)
Cut(t)関数は90<t<360 のとき1を引数に乗じ, それ以外のとき0 を乗じる関数である. 式(9)はワクチン接種日毎に積算する. 

図22 の関数を想定副作用関数という. 半減期が180 [eD]より長くなれば、より平坦でゆっくり増加する関数となる。

関数値の増加形状から第9節のLinear 成分がこれではないか?と考えている.

12. まとめ
 日本で接種されたmRNA方式のCOVID-19ワクチンの中長期にわたる安全性を超過死亡数から論じた. 
 超過死亡数の最近2年間の増加は事実である. COVID による医療資源の逼迫が背景にある, と考えられる. 
 それ以外に, 長期のほぼ線形に増加する原因が定かではない何かが隠れている. 第11節で仮説を立てて議論した. 今後の地道なデータの集積が必要であろう. 

 COVID pandemic 以来, ウイルスへの関心が高まっているが, ウイルスを理解するためには細胞との関係を知る必要がある. 入門書として[8,9] を推薦する. 
 現代の技術をもってすれば, ウイルスは化学合成できる. ウイルス・ゲノム編集は既存の技術である. ウイルス粒子を生成しないようにしたmRNA増殖系も設計でき, それを応用したレプリコン・ワクチンが認可されている. そういう編集したmRNAを脂質ナノ粒子内に封入して体内細胞に送り込むことができる. 中長期の安全性の研究が進んでいない.

13. 文献
[1]日本の超過および過少死亡数ダッシュボード,
exdeaths-japan.org, https://exdeaths-japan.org/
補足資料のObserved.csvをDLする。
48番目全国 09jan2000 ~ 以下を解析した.

[2]国立感染症研究所,感染症疫学センター,
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/493-guidelines/9748-excess-mortality-20jul.html,
第3章, 超過死亡推定法の3.2; 3.3節.

[3]気象庁, 過去の気象データ検索, ダウンロード・リンク
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php

[4]福島邦彦『神経回路と情報処理』朝倉書店, 1989年,
ISBN 978-4254120639.
叉は Backpropagetion, 学習アルゴリズムで検索する.

[5]COVID statistics:
Worldmeter, https://www.worldometers.info/coronavirus/.
Owid/covid-19-data,
https://github.com/owid/covid-19-data/

[6] National Library of Medicine, 
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9012513/
Food Chem Toxicol. 2022 Jun; 164: 113008.
Published online 2022 Apr 15. 
doi: 10.1016/j.fct.2022.113008;
"Innate immune suppression by SARS-CoV-2 mRNA 
vaccinations: The role of G-quadruplexes, exosomes, and 
MicroRNAs",
Stephanie Seneff, Greg Nigh, Anthony M. Kyriakopoulos, and Peter A. McCullough.
「SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種による自然免疫抑制:G-四重鎖、エキソソーム、マイクロRNAの役割」
日本語訳:
https://ameblo.jp/aoyama-tomoo-2022/entry-12779044671.html?frm=theme
からDLする. 全部で4記事に分かれている.

[7]Kazuki Ozawa, Akiyo Hineno, Tomomi Kinoshita, Sakiko Ishihara & Shu-ichi Ikeda,
"Suspected Adverse Effects After Human Papillomavirus 
Vaccination: A Temporal Relationship Between Vaccine 
Administration and the Appearance of Symptoms in Japan",
「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後に疑われる副作用:日本におけるワクチン投与と症状出現の時間的関係」,
https://link.springer.com/article/10.1007/S40264-017-0574-6, Published: 25 July 2017.
Drug Safety volume 40, pages1219–1229 (2017).

[8]武村政春「細胞とはなんだろう;生命が宿る最小単位のからくり」N.D.V.463,講談社,
2020.10.20, ISBN978-4-06-521566-1.

[9]宮沢孝幸「なぜ私たちは存在するのか;ウイルスがつなぐ生物の世界」PHP新書1349,PHP研究所,2023.4.7,
ISBN978-4-569-85418-2.

 

Appendix: It is true that the number of excess deaths has increased over the past two years.
This is thought to be due to the strain on medical resources due to COVID.
Other than that, a long-term almost linear increase part is,  the cause is not clear; i.e., something is hidden.
To detect the hidden one, we analyze the excess mortality curve excepted linearly increasing bias using Fourier-transformation.
We find small 2-waves in the background, whose periods of 4 to 6 years. The 1st-wave represents an increase in the number of excess influenza deaths in 2018-2019; The 2nd is larger, and it is recent two years wave, whose peak will be in the future.