mRNA Vaccine Toxicity #1 は 抗ウイルス免疫機構 の記事です。その続き:

2023.10.15 第5章(LNP関連;ワクチンの成分輸送機序)追加

2023.10.25 第6章(遺伝関連)追加

---- 元文書

"mRNA Vaccine Toxicity" 「mRNA ワクチンの毒性」 ver.1
Michael Palmer MD, Sucharit Bhakdi, MD, Margot DesBois BA,
Brian Hooker PhD, David Rasnick PhD, Mary Holland JD, Catherine Austin Fitts. 
 

==== 第3章 mRNA ワクチン機序 ====
3.1 mRNA ワクチンは全身に分布し、血管に影響を及ぼす

[mRNA-LNPが注射部位にとどまる] という主張は、偽である。
注射部位からリンパ節、血液へと広がる。
ウイルスとは対照的に、mRNA-LNPはあらゆる細胞に取込まれる可能性がある。
血管最内側層の内皮も含まれる。

内皮細胞を標的とするウイルス: デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルスなどである。
血管内皮に感染した寄生菌も命を脅かす病気(例、発疹チフス、ロッキー山紅斑熱)を引起す。
これらの病原体により引起される臨床疾患は出血を特徴とし、しばしば血栓塞栓性の合併症を伴う。
COVID-19 mRNA ワクチンの主要な急性有害反応に似る。

mRNA ワクチンがどのように血管を損傷し、凝固を引起すか
ワクチンのLNPは、循環系に入った後、
(1) 内皮細胞に取込まれ、mRNA が放出される
(2) その後、抗原タンパク質(例、SARS-CoV-2 スパイクタンパク質)が発現し
(3) 細胞表面に輸送され、そこで抗体および補体または細胞傷害性T細胞による細胞に対する免疫攻撃を誘導する
(4) 損傷した内皮細胞が脱落することで、
(5) ワクチン粒子が隣接組織に漏出する。
また、
(6) 血管壁の深層を血液に曝露させ、血小板の凝集、血液凝固を誘発する。

内皮損傷後に形成された血栓は循環障害を引き起こし、
ときに心臓発作や脳卒中のような重篤で不可逆的な結果をもたらす。

3.2 体内のスパイクタンパク質発現範囲、期間
・広範な発現が実証されている。
・期間について2種類の相反する実測結果の議論(詳細は略)の結論
Roltgen ら: ワクチン接種後に長く持続するスパイクの発現があった。
2回目の接種から60日後にもリンパ節からスパイクタンパクが検出される。
スパイクをコードするmRNAの持続的存在が示される。

3.3 mRNAワクチンのLNPは抗原ではない
mRNAワクチンのLNP粒子は脂肪分子殻に包まれて、抗原ではない。
初回接種で抗体が誘導されても、次の接種で、それらの抗体がワクチン粒子を認識して中和しない。

効率低下なしにヒト体細胞に侵入し、抗原が発現し、細胞表面に現れたときに、抗体はそれを認識する。
そして抗体はこれらの細胞に対し免疫系の破壊を指示する。
 
その過程は、抗原が細胞表面に無傷の形で現れると仮定している。
COVID-19のスパイクタンパクにもそれは当てはまる。

将来開発されるmRNAワクチンの中には、細胞内に残存する別の抗原をコードするものがあり、その場合は当てはまらない。<---(?) 変異ウイルス用のワクチンのことか

その場合には、抗原が処理されて、MHC1関連ペプチドの形で提示されることを期待しなければならない。
それらのペプチドは細胞傷害性T細胞の注意を惹くであろう。

B、T細胞のどちらが記憶応答を支配しているかにかかわらず、
結論として、mRNAワクチンにコードされた抗原抗体に対する事前の免疫性が、病原体への反復曝露によって引き起こされる損傷を悪化させる。

この理論的・予測と一致して、2回目のmRNAワクチン注射後のワクチン誘発性心筋炎のリスクは、
1回目の注射後のリスクを上回ると報告されている。

特異的免疫はウイルス感染の反復によって引起こされる病気を軽減ないし完全に予防する、
一方で、mRNA ワクチンの反復注射によってもたらされる害を悪化させる。
<副作用が大きくなる>

そのような事前免疫は、必ずしも以前のワクチン注射によって誘導されたものである必要はなく、
以前に問題のウイルスに感染したことのある人が、
最初のmRNAワクチン注射を受けた場合にも、その影響はほとんど同じである。

3.4 自己免疫疾患の誘発
3.4.1 背景
自己免疫疾患は「自己」抗原を(異常に)認識するT、Bリンパ球の出現と増殖により引起こされる。
同疾患では様々な細胞や組織の破壊が起こるが、
これはウイルス感染細胞を排除するための機構によりもたらされる。

症例1: 自己抗体が、神経細胞から筋細胞へのシグナル伝達を阻害する、重症筋無力症。
甲状腺内での成長ホルモン産生の過剰な活性化、グレーヴス病。

症例2: 自己免疫疾患が一過性であるが、臓器機能を不可逆的に障害する。
例: 膵臓インスリン産生 β 細胞に対する自己免疫攻撃。1型糖尿病という終生続く状態をもたらす。

分子擬態は1型糖尿病の病因でも起こると信じられている。
コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス、ロタウイルスなど、いくつかのウイルスの関与が報告されている。

COVID-19感染、COVID-19ワクチン接種後に、様々な自己免疫疾患が報告されている。
分子擬態が重要な機序であることが示唆されている。

症例3: 血液細胞も自己免疫疾患の標的となりうる。
例: 自己抗体は、血液凝固に不可欠な血小板を破壊することがある。
結果は「血小板減少性紫斑病」。皮下やその他の部位からの自然出血となる。

例: 他の自己抗体が血小板を活性化することがあり、その場合は血栓が観察される。
血小板の不必要で過剰な活性化もまた血小板を枯渇させるので、
臨床像は凝固と出血が組み合わさったものとなる。
後者はCOVID-19ワクチン接種後に観察され、ワクチン誘発性血栓性血小板減少症(vaccine-induced thrombic thrombolysis:VITT)と呼ばれる。

症例4: 自己免疫攻撃が多数の臓器を侵す。
例: 全身性エリテマトーデス(SLE)。原因はDNA、リン脂質に対する抗体であり、全細胞および組織に遍在している。複数の臓器が侵され、SLE は重篤な疾患である。

3.4.3 死細胞から放出された自己抗原のクリアランス不全
細胞内の残留抗原は、MHC1表面分子により断片化され提示されて免疫系に遭遇するものであり、通常は抗体に遭遇しない。
抗体産生細胞からこれらの抗原を遠ざけておくことは、自己寛容に重要である。
この分離を維持するために、死細胞を迅速に除去しなければならない。

アポトーシス: 細胞が傷害性T細胞の作用としてプログラムされた細胞死を受けると、細胞断片は分子マー
カーを提示し、それが自己由来であることを貪食細胞に認識させる。
食細胞は病原性微生物の摂取に対して応答するようには応答せず、ヘルパーT細胞を活性化して抗体応答を誘導しない。

この除去機構に過剰負荷がかかり、細胞の残骸が除去される前に「腐って」しまうと、もはや自己に由来するものとして認識されない。
次に食細胞は組織片に含まれる「隠れた自己」抗原に対する抗体の産生を開始する。
これらの自己抗体は炎症をさらに促進し、より多くの細胞が破壊され、多くの細胞片が放出される。
この悪循環の最終結果が、自己免疫疾患である。
この機序と一致して、食細胞のクリアランス経路を阻害する、いくつかの遺伝子異常が SLE の発症を促進する。

 

★ 3.5 ワクチンの免疫抑制
3.5.1 接種後の免疫抑制症状
(1) 帯状疱疹
(2) 消化管を侵す細菌感染症
(3) 悪性腫瘍 治癒したと考えられていた癌の再活性化

3.5.2 機序
3.5.2.1 飽和・帯域幅
免疫系は、活性化の程度に全体的な制限を受ける。
ワクチンにより誘導された外来抗原が体内の複数の組織や器官で持続的に発現すると、
同時に侵入してきた実際の病原体との戦いに資源を振り向けることができない。

3.5.2.2 リンパ球殺傷
mRNAワクチンにコードされた外来抗原を発現する体細胞は、細胞傷害性T細胞、他の細胞傷害性免疫エフェクター機構により攻撃される。リンパ球自身も例外ではない。

リンパ球が mRNAワクチンを取り込むと、他のリンパ球の標的になる。このようにして免疫系は自己を破壊する。
Arne Burkhardtは、リンパ節と脾臓にスパイクタンパク質の発現を観察した。
本知見は、免疫抑制の重要機序として、抗リンパ球活性を支持する。

3.5.2.3 LNPによる免疫抑制
Qinらは、インフルエンザ・ウイルスをコードするmRNAワクチンを用いて、リンパ球活性化と抗体産生を測定した。誘導された免疫反応は、あらかじめLNPのみを注射することによって抑制された。

陽イオン性脂質の毒性は活性酸素種により媒介される。
リンパ球は他細胞より容易にLNPの毒性に屈する。

3.6 mRNAワクチンの作用は一般的である
将来、どのような病原体のmRNAワクチンを使用した場合でも、結果はCOVID-19ワクチンを使用した場合とほぼ同じになると考えられる。

次章(第4章)の証拠は、組織、血管に対する深刻で持続的な損傷は、スパイク蛋白質産生細胞に対する免疫攻撃により引き起こされる。攻撃はスパイク蛋白が非自己抗体であるために起こる。

他の病原体mRNAワクチンは標的微生物に由来する非自己抗体を必ずコードする。

ゆえに、同メカニズムで同程度の害を引起こすだろう。

==== 第4章 mRNAワクチンによる免疫学的障害を示す病理学所見 ====

4.2 evidence
pear review医学文献の症例報告
病理学名誉教授Arne Burkhardt医師と同僚の剖検

Burkhardt: COVID-19ワクチン接種を1回以上受けた後に死亡した患者43人の剖検評価
死亡診断書に記載された診断名: ワクチンへの言及はなかった。

22例でワクチンとの因果関係が確実または可能性が高く、7例で因果関係がありうる、と結論した。

因果関係を除外したのは3例のみであった。
残りの11例では決定的な判定を下すことができなかった。


=== 第5章 mRNAの輸送粒子=LNP <2023.10.15 追加>

5.1 脂質ナノ粒子(LNP)の構造
mRNAワクチン脂質ナノ粒子の組成を図5.1に示す。

 figure 5.1


粒子は、2 つの天然脂質成分(コレステロールとホスファチジルコリン)、 2 つの合成脂質成分を含む(図5.2)。

最少の脂質は合成脂質で、ポリエチレングリコール(PEG)と結合して粒子表面を修飾している。
他3脂質は粒子内部に存在する。

コレステロールとホスファチジルコリンは粒子を安定化させる。
もう1つの合成脂質はイオン性で、2種類の電荷状態で存在できる。
細胞外腔や細胞質に広く存在する中性に近いpHでは、ほとんど電荷をもたない。
酸性環境下では、この脂質分子は水素イオン(H+)と結合し、正に帯電する。
粒子相互の静電気的反発により、脂質ナノ粒子が崩壊し、mRNA が細胞内に放出される。

図5.2 PfizerとModernaのCOVID-19ワクチンに含まれる合成脂質の分子構造式(略)

5.1.1 LNP物性
粒子表面を覆うPEGは水溶性で、粒子から分離する。
それにより疎水性脂質が露出する。
そして表面疎水性のアポ・リポタンパク質が引寄せられる(図 5.3)。


図5.3

アポリポ蛋白のアドレスタグ機能: アポリポ蛋白の細胞内輸送、血管内皮などの細胞関門の通過を指示する。
ゆえにLNPが「アドレスタグ」と結合すると、それは天然のリポ蛋白と同様に認識され、輸送される。

5.1.2 リポ蛋白のエンド/トランス・サイトーシス
天然リポ蛋白の目的は、組織や細胞に脂肪やコレステロールを供給することである。
細胞は受容体を介したエンド・サイトーシスによりリポ蛋白粒子を取り込み分解する(図 5.4B)。
脂肪とコレステロールは細胞の必要に応じて利用される。
アポリポ蛋白質はアミノ酸に分解され、新蛋白質の合成に再利用される。


図5.4

図5.4はエンド・サイトーシスにより取込まれた粒子がエクソ・サイトーシスにより再放出される場合もあることを示す。
エンドサイトーシスとエクソサイトーシスが細胞の反対側で起これば、作用はトランス・サイトーシスである。

それは、リポ蛋白粒子が血管内皮細胞を通過し、
組織、臓器の循環系と血管外コンパートメントとの間を移動する機序である。
本現象は毛細血管に限らず動脈にもみられる。
5.1.3 LNPによる血管バリアの通過
同様の挙動は、表面にアポリポ蛋白質を有すナノ粒子でも観察される。
Kucharzらは、ナノ粒子が脳内の血管壁を通過し、脳内に到達することを報告した。
その研究では、最大の転座は毛細血管や動脈ではなく、細静脈、すなわち小静脈で検出された。

同様に、Hartlらは、ある特定のアポリポ蛋白(ApoE)に表面が共有結合したポリマーナノ粒子も、
循環系から脳組織へ移行できることを報告した。

Kucharz らやHartlらにより報告された観察結果は、
脳の血管が他臓器の血管よりも溶質や粒子に対する許容性が低いことを考えると注目に値する。

血管から脳組織への物質輸送を制限する解剖学的、生化学的特徴は、血液脳関門と呼ばれている。
血液脳関門を通過する薬物の輸送は、in vivoでのLNP挙動に関する膨大な実験的研究の焦点となっている。

一方、LNPの他器官、組織への輸送はあまり注目されていない。
しかし、否定証拠がない限り、体内の他のほとんどの器官内*でも、そのような粒子の輸送は、脳内と同程度に容易であると推定できる。<---(筆者)こういう記述が本資料の信頼性を損ねている。医学は複雑系である。すべてに実証が求められる。
*) 母体と胎盤内の胎児循環との間の障壁を含む

5.1.4 mRNAの細胞内放出
Schlichらは、複数の実験研究を紹介し、mRNA分子の内わずかな割合のmRNAがエンドソームから脱出して、蛋白質に翻訳されることを示した。
本知見はCOVID-19mRNAワクチンのLNPではなく、類似組成のLNPでのものである。

ワクチンのmRNAの様々な挙動を図5.5に示す。
図5.5

最初、 mRNAを包んでいたエンドソームからのmRNAの脱出が酸性化により引起こされる。
胃粘膜内のある種の細胞が酸を胃に送り込むのと同じように、この細胞は酸をエンドソームに送り込む。
酸の水素イオンはLNPのイオン化可能な脂質分子に結合し、正電荷をもつようになる。

それにより、脂質は分散してエンドソームを包む脂質膜と混合し、mRNAの細胞質への逃避経路が形成される(図 5.6)。
同時に酸はエンドソーム内の脂質とmRNAの双方の分解も促進する。
分解は放出と競合する。

図5.6


エンドソームから無傷で脱出できたmRNA分子でも、エクソソームに詰込まれて細胞から放出される可能性がある。そのエキソソームは他細胞と結合しmRNAをそれらの細胞に送達する可能性がある。
エキソソームはLNPの脂質が分散、分解、排泄された後、mRNAの体内での持続、拡散する可能性がある。
COVID-19 mRNAワクチン接種を受けた人で、スパイク蛋白質の長期的な発現に重要な役割を果たしている可能性がある。

5.2 mRNAワクチンの薬物動態

5.2.1 mRNAワクチンの臓器分布考察
以下の臓器はリポ蛋白を多く取込む
1. 肝臓
2. 精巣、卵巣、副腎
3. 胎盤
4. 授乳中の乳腺

図5.7 mRNAワクチンの体内分布、ラットの場合、Phizerのデータ

接種15分後に、ワクチンが血流中に検出される。
血中濃度は最初の2時間上昇し、その後低下する。
同時に、ワクチンは様々な臓器に蓄積する。
ほとんどの臓器でリポ蛋白蓄積量は接種後48時間で最高値に達する。<----(!)

蓄積量の多い臓器の中、肝臓、副腎、卵巣は、リポ蛋白の代謝回転が速い。

脾臓の組織中濃度が高いことは、同臓器がリポ蛋白代謝に重要な役割を果たす点からは説明できない。

脾臓組織は、マクロファージとリンパ球を含む免疫細胞が豊富である。
これらの細胞の多くは、抗体や補体系蛋白に対する受容体を有す。
これらは、免疫細胞が抗体や補体因子が結合した、
抗原性蛋白、ウイルス粒子、微生物細胞を摂取することを可能にする。
抗体と補体因子が実際にLNPに結合する可能性があるが、それは本解釈と一致する。

Moderna の研究結果報告書
脾臓と眼でmRNA濃度の上昇(血漿中濃度と比較して)が認められ、
腎臓を除くすべての検査組織で mRNA 濃度の低下が認められた。
研究には心臓、肺、精巣、脳組織も含まれている。

本研究では mRNA-1647の肝臓への分布も明らかであり、
肝臓がLNPの一般的な標的器官であるとする文献報告と一致する。

脾臓、肝臓で認められた蓄積は、Pfizer社の試験と一致している。
卵巣と副腎については特に言及されていないが、これらの組織ではModernaのモデルワクチンが

Pfizerのモデルワクチンと同程度には蓄積されなかったことが示唆されている。

特定の臓器における組織中濃度にかかわらず、血管と内皮は、

あらゆる臓器においてワクチン粒子に曝露されることに留意すべきである。

---
Pfizer, Modernaの動物実験では、心筋と脳に比較的低度~中等度のモデル・ワクチンしか蓄積されなかった。
にもかかわらず、それらの臓器で炎症とワクチン誘導性のスパイク蛋白質発現が認められている。

観察された炎症は脳に関して顕著である。
脳は血液脳関門によって保護されていると考えられる。
ここでは、次の2点に注意する必要がある。

1. 脳組織が炎症に侵されると、血液脳関門が破綻する。
mRNAワクチンの初回接種により誘発された脳内の血管炎(!)は、血液脳関門を軟化させ、
その後の追加接種でワクチン粒子侵入を容易にする(可能性)。

2. SARS-CoV-2のスパイク蛋白質は、複数の研究で血液脳関門の完全性を損なうことが示されている。
スパイク蛋白質は他部位で発現している可能性がある。が血流を介して脳に到達することから、ワクチン粒子の脳への透過を促進する可能性がある。

<上記の2社の分布試験の不十分性>
Pfizer社のモデル・ワクチンはルシフェラーゼをコードしており、その点に関して、不活性である。
Moderna社のモデル・ワクチンはサイトメガロウイルスのいくつかのタンパク質をコードしているが、
これらの蛋白質が血液脳関門の完全性に直接及ぼす影響については情報がない。

===== mRNAの経時変化 =======
1.動物実験
モデル・ワクチンにコードされている蛋白質、ホタル・ルシフェラーゼの誘導光測定結果
肝臓内 接種後2日以内に消失
筋肉組織 9日間

EMA報告書、Modernaのモデル・ワクチンのmRNA半減期
注射部位 15時間
脾臓 63 時間
血漿中の半減期 3時間

2.ヒト
COVID-19ワクチンmRNAは、
接種から60日後にリンパ節から検出され,
30日後には接種されなかった四肢の筋組織から検出された。

Fertigら: 全患者で注射後15日目の検査結果が陽性である。
Castruitaら: 注射後28時間までの採血検体からワクチンmRNAを検出した。

===== LNPの経時変化 =======
Pfizerのカチオン性脂質(ALC-0315)を静脈内投与した場合、60%が肝臓に蓄積する。
濃度は注射後2週間経過しても高く、分解が遅いことを示した。

PEG修飾脂質(ALC-0159)は肝臓内にわずか蓄積する。
循環血中の脂質ナノ粒子からこれらの粒子が肝臓に到達する前に放出されたことを反映している。
本脂質は肝臓組織からも速やかに除去される。

両脂質は尿中に検出されなかった。
PEG-脂質の半分は未変化の形で便中に排泄され、
これは肝細胞によって胆汁中に分泌されたためである可能性が高い。

対照的に、糞便中にはカチオン性脂質の1%しか検出されなかった。
したがって、PEG 脂質の約半分と陽イオンの大部分が代謝分解を受ける可能性が最も高い。

いくつかの脂質代謝物は in vitro 試験で特性が明らかにされているが、
in vivo 試験は実施されていない。

図5.8


=== 注射技術 ===
動物に静脈注射すると、非常に多くのワクチンが肝臓に到達する。
ヒトにCOVID-19ワクチンを筋肉内投与した場合、注射された物質の多くが筋肉組織に残留する。

看護師や医師なら誰でも知っているように、慎重に筋肉内注射を行っても、事前に吸引を行っても、
ボーラスが誤って血流中に直接投与されることがある。

(!) Middletonら: 3000回以上のテストステロン注射のうち1.5~2%で部分的/完全な血流への注射が行われたことを明らかにした。
mRNAワクチンによって引起こされる心筋炎は、筋肉内注射よりも静脈内投与の方が重症化する。

=== LNPの毒性 ===
5.3 脂質ナノ粒子の毒性
再度、2種類の合成脂質(PEG抱合、カチオン性)について議論する。
PEG脂質: アレルギー反応、は臨床的にはアナフィラキシーとして発現する

カチオン性脂質: 有毒
正電荷に依存して、エンドソーム区画からワクチンmRNAを放出する。
細胞膜を形成する天然脂質は、中性か負に荷電している。
陽イオン分子は、これらの負帯電・細胞膜に引付けられ、細胞膜を不安定にしたり、破壊する。

5.3.3.1  陽イオン脂質は活性酸素種を誘導する
陽イオン脂質による膜破壊の下で起こる作用、活性酸素種(ROS)産生である。

ROSは膜脂質とDNA両方を含む細胞内の様々な感受性標的を攻撃する。
ミトコンドリアまたは細胞DNAへの損傷はアポトーシスを誘発する。

免疫組織化学検査では、COVID-19 mRNAワクチンがリンパ球でスパイク蛋白質の発現を誘導することが示されている。リンパ球は適応免疫系のバックボーンであるため、陽イオン性脂質の毒性が免疫抑制を引き起こすことが予測される。

ROSは正常な細胞代謝においても発生する。我々の体細胞にはROSを除去して損傷を軽減する能力が備わっている。ROSや様々な毒性変換産物の掃除分子は、チオール化合物であるグルタチオン(G-SH)である。

<この後にワクチンの製品のばらつきが議論されている>

=== 第6章 mRNAワクチンの遺伝性 ===
Pfizer社のワクチンに関する EMA の評価報告書:
遺伝毒性試験は実施されていない。ワクチン製剤の成分は、
遺伝毒性を示す可能性がないと予測される脂質とRNAであるため、これは許容される。
<本報告書は常識として受け入れられる。下記は考えにくいが、、、WCHの見解を聞こう>

6.2 ワクチンmRNA配列からDNAへの逆転写
<略>
レトロウイルスではないRNAウイルス由来の哺乳類DNA配列が染色体に挿入されることを実証した最初の
研究が、1997年にKlenermanらによって報告された。
問題のウイルスは、マウスに感染するリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスであった。
このウイルス自体は逆転写酵素をコードしていないため、
観察されたウイルスRNAゲノムの部分的なDNAコピーは、
細胞の酵素による逆転写によって作製されたものであるに違いないと考えられた。
---
その後、レトロトランスポゾンがウイルスRNAの逆転写とDNAコピーの細胞ゲノムへの挿入の両方を行っていたことが判明した。

---
 

6.2.3 細胞性レトロトランスポゾンの生物学的役割
レトロトランスポゾンは、細胞ゲノム中に存在する可動性の遺伝因子である。
自身のコピーをさらに作製するための完全な蛋白質装置をコードしている。

ほとんどの場合、最終的にDNAに再コピーされて挿入されるのは、
レトロトランスポゾン自身のmRNAである。

しかし、レトロトランスポゾン蛋白質はときに鋳型スイッチを受けることがあり、
自身のmRNA鋳型を失って代わりに別のRNA分子を取り込み、
それがDNAに逆転写されて細胞のゲノムに挿入される。

その活性は体細胞の種類や機能状態によって異なる。
注目すべきは、レトロトランスポゾンが分裂細胞と非分裂細胞の両方で活性を示すことと、
卵母細胞でも活性を示すこと。

<これは推測である。その後、様々な実験が行われ、次の見解となっている。>

6.2.8 結論
COVID19 mRNAワクチンに関してこれまでに報告された知見からは、
ワクチンmRNAの逆転写と in vivo でのゲノム挿入が確実に証明されたわけではない。
このリスクを直ちに排除することはできないことを示す状況証拠は十分に存在する。
後者はまた、他の病原性微生物に対する将来のmRNAワクチンにも適用される。

----- レトロトランスポゾン調査 図表はスペース節約のため貼りません。元報からをDLしてください。
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2020.920726/data/index.html
ヒト レトロトランスポゾンと宿主因子との間で繰り広げられる攻防と連携
三好知一郎(京都大学) 2020年10月25日
© 2020 公益社団法人日本生化学会


1. はじめに
ゲノム上のある場所から別の場所へと移動する転移因子(トランスポゾン)は,Barbara McClintockによるトウモロコシを用いた先駆的な研究から発見され,その後多くの生物種のゲノム内に存在することがわかった.

ヒトゲノムプロジェクトによりゲノムの概略図が明らかにされると,ゲノムの半分近くがトランスポゾン配列から構成されていることも明らかとなった.
その中でも現生人類のゲノム上を自律的に転移することができるのはlong interspersed element-1(LINE-1またはL1)のみである.

これは転写後,自身がコードする逆転写酵素によって自らのRNAをcDNAへと変換し,ゲノム挿入を繰り返すことで増幅するレトロトランスポゾンである.
無秩序なL1の転移は,遺伝子破壊など不利な変異にもつながるため,宿主はL1に対してエピジェネティック修飾による転写抑制やRNA分解制御を発達させ,転移を抑制してきた.

これまでは,このような翻訳前の制御に焦点が当てられてきたが,翻訳後の制御,すなわちタンパク質レベルにおけるL1と宿主因子との相互作用は見逃されてきた.
本稿では,L1から作り出されるタンパク質に着目し,最近我々が見いだした宿主制御因子群について概説する.

2. ヒト レトロトランスポゾンについて
トランスポゾンは,DNAトランスポゾンとレトロトランスポゾンに大別される.
前者は自身のDNA配列を切り出して別のゲノムDNA配列内に移動するカット&ペースト方式で転移し,後者は自身の転写産物を逆転写して移動するコピー&ペースト方式によって転移する.

多くの哺乳類ではDNAトランスポゾンはすでに転移能を失っているが,レトロトランスポゾンは高い転移能を保持している.
レトロトランスポゾンはさらに,レトロウイルスと類似したlong terminal repeat(LTR)型とnon-LTR型に区別され,前者もヒトにおいては転移能を喪失していると考えられている(ただしマウスでは転移可能).

一方,先に述べたL1はnon-LTR型であり,疾患原因となる遺伝子破壊を引き起こすことが報告された後1),培養細胞を用いた実験により,実験室レベルにおいても転移することが証明された2, 3).

さらにnon-LTR型にはshort interspersed element(SINE)ファミリーに属するAluやSINE-R/VNTR/Alu-like(SVA)が知られている.
これらは自身の配列だけでは転移することができないが,L1のタンパク質を利用して転移する非自律的なレトロトランスポゾンである4).

L1とSINEをあわせると,ヒトゲノムの約28%程度を占有しているが,これらの配列の多くは,はるか太古の昔に転移した配列の痕跡であり,そのほとんどが転移能を失った“化石”のような存在である.

ヒトではおよそ80~100コピー程度のL1配列が,高い転移能を持つと推定され,これまでに疾患原因となる挿入変異が100例以上報告されているが,研究の進展に伴い報告例は増加の一途をたどっている5).

最近では,集団内のゲノム多様性に加え,個体内の細胞間でもその挿入位置が異なることがわかってきた6).
これは,生殖細胞のみならず,多くのがん細胞,初期発生や神経前駆細胞といった体細胞においても,L1の発現量が大きく亢進することと密接に関係している.

初期発生時に転移が起こった場合,細胞間における転移場所が異なるため,臓器特異的な疾患原因になる場合もある.
興味深いことに,最近の報告ではL1の高発現そのものが正常な発生の進行に不可欠であることが示唆されているが,具体的なメカニズムに関してはまだ不明な点が多く残されている.

3. L1の転移サイクル
L1は,RNAポリメラーゼIIによって転写され,ORF1とORF2という二つのタンパク質をコードする(図1).
RNA結合タンパク質であるORF1は,L1の転移に必須であるが,その具体的な役割はよくわかっていない.

ORF2は,DNAエンドヌクレアーゼ活性と逆転写酵素活性を持つ触媒サブユニットである.
ORF2の逆転写酵素ドメインは,テロメアDNAの合成を行う逆転写酵素テロメラーゼと高い相同性を有し,両者は共通の祖先から派生したと考えられている.

翻訳されたORF1とORF2は,細胞質において自身をコードするL1 RNAに結合し,ribonucleoprotein(RNP)を形成する(図2).
ORF2はpolyAテイルを認識するため7),低頻度ながらも他のmRNAにも結合してこれを逆転写することから,ゲノム上にはイントロンを持たないmRNA由来のcDNA(=processed pseudogene)も多数存在する.

Aluは,RNAポリメラーゼIIIによって転写されるためpolyAテイルを持たないが,転写終結部位の手前に長いpolyA配列が存在し,この配列を利用して,ORF2を自身のRNAにリクルートし,転移能を保持していると予想される4).

Journal of Japanese Biochemical Society 92(5): 726-730 (2020)

図1 ヒトにおいて転移可能なレトロトランスポゾンの模式図
ヒトで唯一自律的に転移するL1は,二つのタンパク質(ORF1とORF2)をコードしている.
そのプロモーターは両方向性の転写活性を有する.
ORF2はエンドヌクレアーゼ活性と逆転写酵素活性を持つ.
AluやSVAは,L1のORF2を利用して転移する非自律的なレトロトランスポゾンである.
Aluには7SL RNAと類似の配列が重複して存在し,それぞれLeftモノマー,Rightモノマーと呼ばれ,RNAポリメラーゼIIIの転写開始に必要なA, BボックスがLeftモノマー内に存在する.
processed pseudogeneは,細胞内のmRNAがL1によって転移したcDNA配列であり,イントロン配列を含まない.

Journal of Japanese Biochemical Society 92(5): 726-730 (2020)
図2 L1の転移サイクルとこれを制御する宿主DNA修復因子
L1が転写された後,翻訳されたORF1とORF2タンパク質が,細胞質においてL1 RNAと複合体(RNP)を形成する.
この細胞質L1 RNPを標的とする種々のL1抑制因子が単離されている.
さらにL1タンパク質は,L1以外のRNA(Alu, SVA, mRNA等)とも相互作用し,転移を行う.核内に移動したL1 RNPは,ORF2によってTに富むDNA配列を切断し,ニックを導入する.
切断されたDNA端からORF2の逆転写酵素活性によってcDNAが合成される.この反応機構はtarget-site primed reverse transcription(TPRT)と呼ばれる.
このときTに富む配列とRNA上のpolyA配列が塩基対を形成すると考えられている.
切断されたニックをPARP2が認識し,活性化されてADP-riboseを重合する.
重合されたpoly(ADP-ribose)は,RPAといったDNA修復因子の集積の目印となる.本来であれば一本鎖DNAに結合するRPAだが,一本鎖DNAが露出する前段階でも,ゲノム上に集積するのではないかと予想される.

これにより,迅速にTPRT中間体の一本鎖DNAを保護することが可能となるのかもしれない.
さらにRPAは,A3Aのように一本鎖DNAを標的とするL1阻害因子の働きも抑制している.
しかし,逆転写反応前後にはまだ不明な点が多く残されている.

核内に移行したL1 RNPは,ORF2によってTに富むDNA配列上にニック(一本鎖DNA切断)を導入し,ゲノム侵入を開始する(図2).
このときL1 RNAとゲノムDNAの間で,RNA-DNAハイブリッドが形成され,DNA切断端からORF2が逆転写反応を開始する,target-site primed reverse transcription(TPRT)というモデルが知られている3, 8).

しかし,TPRTを含め,転移反応の全貌はまだよくわかっていない.
たとえば,L1のcDNAをゲノムに挿入するためには,ニックが存在しないもう片方の鎖を切断する必要があるが,そのヌクレアーゼは同定されていない.
また,TPRT反応中間体の制御や,最終的にcDNAを連結させる仕組みも不明である.

4. L1と相互作用する宿主因子群
ヒトが出現する以前,その共通祖先において転移していたと予想される太古のL1配列のプロモーター上には,転写抑制に関わるZincフィンガータンパク質の結合配列が存在する.
しかし,現生人類において活発に転移するL1のプロモーター上から,この結合配列が見事に除かれており,その転写抑制機構から逃れている9).

このようにL1を抑制する作用とこれを逃れる試み,すなわち宿主とL1との関係は進化的軍拡競争にたとえられる.
これまでにL1タンパク質と相互作用する因子として,ORF1を標的とする転移抑制因子が複数単離されているが,これは自然免疫に関連した生体防御機構だと思われる10).

興味深いことに,これらの抑制因子はHIVを含むRNAウイルスの抑制にも関与する.
レトロトランスポゾンとレトロウイルスを抑制する分子機構は一部共通しているようだ.

このような抑制機構とは反対に,L1の転移活性を維持する方法はあるのだろうか? 
我々は,TPRT反応を制御する宿主因子の実態を明らかにしようとORF2複合体の解析を行った11).

その結果,さまざまなクロマチン制御因子やDNA修復因子が単離された.
これは,L1の転移が単一の経路で説明されるのではなく,挿入場所やタイミング(細胞周期)によって,それぞれ異なる制御を受けることを示唆する.

今回,我々が着目したのは,抗がん剤の標的分子としても注目されるpoly(ADP-ribose)polymerase(PARP)ファミリーに属するPARP1とPARP2である.
両者は,DNA上のニックすなわち一本鎖DNA損傷によって活性化され,ADP-riboseを重合する.
このpoly(ADP-ribose)は,主にPARP1/2それ自身に付加され,他のDNA修復因子にとって目印となり,これらの因子の損傷部位への集積を促進する12).

TPRTはORF2のエンドヌクレアーゼ活性によるニックの導入から開始されるため,PARP1とPARP2が転移開始部位に直接結合することが容易に想像される.
実際,エンドヌクレアーゼ活性を欠失したORF2はPARP2と相互作用しないため,PARP2はORF2によって導入されたニックを認識して結合しているようだ.
一方で,PARP1はニックの有無に関わらず相互作用しており,ORF2と直接結合する可能性も考えられる.

転移をモニターするレポーター遺伝子を用いることで,L1転移頻度を測定することが可能だが,PARP阻害剤で処理した培養細胞では,転移頻度が顕著に低下していた.
PARP1, PARP2をそれぞれ単独あるいは同時にノックダウンした細胞においても,L1転移頻度の低下が観察された.
すわなち,L1転移にはPARP活性が重要であり,PARP1とPARP2はともに転移に寄与していることがわかった.
poly(ADP-ribose)を目印に,TPRT中間体を制御する別の因子がリクルートされるのではないかと予想し,解析を進めたところ,一本鎖DNAを保護するreplication protein A(RPA)が,poly(ADP-ribose)に直接結合することを見いだした.

さまざまなRPA変異体を用いた解析から,RPAのpoly(ADP-ribose)の認識は,一本鎖DNAの結合に必須のアミノ酸残基と同一であった.
つまり生体内では,RPAがpoly(ADP-ribose)と一本鎖DNAを類似の分子として認識する可能性がある.

近年,poly(ADP-ribose)が核酸と類似の挙動を示すという報告が相次いでおり,今後も生体内でのpoly(ADP-ribose)の役割を詳細に調べる必要がある.
前述の結果を裏づけるように,PARP2ノックダウン細胞では,RPAとORF2の相互作用は顕著に低下し,さらにRPAをノックダウンすると,L1転移頻度の低下が観察された.

すなわち,ニックによって活性化されたPARP2が重合するpoly(ADP-ribose)を目印に,RPAはTPRT中間体に蓄積される.
そして,逆転写反応によって合成された一本鎖cDNAが露出すると,RPAが迅速に結合し,TPRT中間体を保護するというモデルが考えられた(図2).
APOBEC3ファミリーに属するA3Aは,L1の一本鎖cDNAを標的とする転移抑制因子として知られている13).
しかし,RPAが一本鎖DNAに結合すると,A3Aの作用は抑制されていた.

これもRPAによる一本鎖DNA保護機能の一端を示すものであろう.
一方で,PARP1による転移促進機構の詳細はまだ不明であり,今後の研究進展が待たれる.

一見矛盾するようだが,RPAは転移抑制因子であるA3Aとも相互作用していた11).
L1がPARPファミリーやRPAのように一本鎖DNA損傷修復経路と連携して転移する場合,この経路は,APOBEC3ファミリーのような宿主防御機構の標的にもなる諸刃の剣なのかもしれない.

転写,RNP形成に加え,DNA修復経路も,宿主とL1にとって,第三の攻防の場となるのではないかと予想している.

L1相互作用分子のプロテオミクス解析を通じて,種々の核内制御因子の実態に一歩近づくことができたが,新たな課題として,単一経路による制御では説明できない,
多彩な制御機構の存在も浮かび上がってきた.

実際,ORF2複合体として単離された因子の中から,PARPファミリーとは無関係な因子を選択してノックダウンした場合でも,L1の転移頻度が減少することを見いだしている(未発表).

進化的抑圧を経てもなおL1が転移し続けられる理由は,ある経路が宿主によって阻害されたとしても,転移に利用可能な経路が他に複数存在するためではないだろうか.

5. おわりに
L1は転移による挿入変異だけでなく,未解明の疾患原因となることも予想される.
最近では,L1と慢性炎症との関係が注目されている.

慢性炎症の表現型は,老化した組織や細胞だけでなく,L1抑制遺伝子に変異を持つ細胞においても観察され,その背景にはL1由来のcDNAが蓄積した結果,細胞質DNAセンサーが活性化され,持続的な炎症反応が促進されるためではないかと考えられている14, 15).

しかしTPRTの作用機序を考慮すれば,cDNAの合成は核内で起こるはずだが,どのようなメカニズムで細胞質にcDNAが蓄積するのか不明である.

あるいは細胞質においてもL1は逆転写反応を行うのであろうか? 
その場合,cDNA合成開始に必要なプライマーはどこから供給されるのだろうか? 
宿主によるL1制御機構を明らかにする過程で,これらの疑問に対する答えも導き出され,疾患に対して有効な緩和手法の開発が進むことも期待される.

謝辞 略

引用文献
1) Kazazian, H.H. Jr., Wong, C., Youssoufian, H., Scott, A.F., Phillips, D.G., & Antonarakis, S.E. (1988) Haemophilia A resulting from de novo insertion of L1 sequences represents a novel mechanism for mutation in man. Nature, 332, 164–166.

2) Moran, J.V., Holmes, S.E., Naas, T.P., DeBerardinis, R.J., Boeke, J.D., & Kazazian, H.H. Jr. (1996) High frequency retrotransposition in cultured mammalian cells. Cell, 87, 917–927.

3) Feng, Q., Moran, J.V., Kazazian, H.H. Jr., & Boeke, J.D. (1996) Human L1 retrotransposon encodes a conserved endonuclease required for retrotransposition. Cell, 87, 905–916.

4) Dewannieux, M., Esnault, C., & Heidmann, T. (2003) LINE-mediated retrotransposition of marked Alu sequences. Nat. Genet., 35, 41–48.

5) Hancks, D.C. & Kazazian, H.H. Jr. (2016) Roles for retrotransposon insertions in human disease. Mob. DNA, 7, 9.

6) Muotri, A.R., Chu, V.T., Marchetto, M.C., Deng, W., Moran, J.V., & Gage, F.H. (2005) Somatic mosaicism in neuronal precursor cells mediated by L1 retrotransposition. Nature, 435, 903–910.

7) Doucet, A.J., Wilusz, J.E., Miyoshi, T., Liu, Y., & Moran, J.V. (2015) A 3′ Poly(A) Tract Is Required for LINE-1 Retrotransposition. Mol. Cell, 60, 728–741.

8) Luan, D.D., Korman, M.H., Jakubczak, J.L., & Eickbush, T.H. (1993) Reverse transcription of R2Bm RNA is primed by a nick at the chromosomal target site: a mechanism for non-LTR retrotransposition. Cell, 72, 595–605.

9) Jacobs, F.M., Greenberg, D., Nguyen, N., Haeussler, M., Ewing, A.D., Katzman, S., Paten, B., Salama, S.R., & Haussler, D. (2014) An evolutionary arms race between KRAB zinc-finger genes ZNF91/93 and SVA/L1 retrotransposons. Nature, 516, 242–245.

10) Goodier, J.L. (2016) Restricting retrotransposons: a review. Mob. DNA, 7, 16.

11) Miyoshi, T., Makino, T., & Moran, J.V. (2019) Poly(ADP-Ribose) Polymerase 2 Recruits Replication Protein A to Sites of LINE-1 Integration to Facilitate Retrotransposition. Mol. Cell, 75, 1286–1298.e12.

12) Gibson, B.A. & Kraus, W.L. (2012) New insights into the molecular and cellular functions of poly(ADP-ribose) and PARPs. Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 13, 411–424.

13) Richardson, S.R., Narvaiza, I., Planegger, R.A., Weitzman, M.D., & Moran, J.V. (2014) APOBEC3A deaminates transiently exposed single-strand DNA during LINE-1 retrotransposition. eLife, 3, e02008.

14) Simon, M., Van Meter, M., Ablaeva, J., Ke, Z., Gonzalez, R.S., Taguchi, T., De Cecco, M., Leonova, K.I., Kogan, V., Helfand, S.L., et al. (2019) LINE1 Derepression in Aged Wild-Type and SIRT6-Deficient Mice Drives Inflammation. Cell Metab., 29, 871–885.e5.

15) De Cecco, M., Ito, T., Petrashen, A.P., Elias, A.E., Skvir, N.J., Criscione, S.W., Caligiana, A., Brocculi, G., Adney, E.M., Boeke, J.D., et al. (2019) L1 drives IFN in senescent cells and promotes age-associated inflammation. Nature, 566, 73–78.

公益社団法人日本生化学会

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6.3 Pfizer/ModernaのmRNAワクチンのプラスミドDNA
mRNAの大量生産にはDNA が必要である*。

*) プラスミドは、染色体DNAから物理的に分離している、独立して複製することができる細胞内の小さな染色体外DNA分子である。
一般的には、小さな環状の二本鎖DNA分子として、細菌や古細菌の細胞質内で広く見られる。
プラスミドは酵母などの真核生物にも存在する場合がある。
--- プラスミドを使用したRNA合成 ----
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/invitro_rna_nap_bid_ts_1/
in vitro転写システムでRNA合成を行う際のポイント
作成者 LatB Staff, 04.16.2021
ファージ RNA ポリメラーゼ(T7/T3/SP6)を用いたin vitro転写システムは、古くから効率的なin vitro翻訳によるタンパク質合成やマイクロインジェクションのためのRNAテンプレートの調製方法として利用されてきました。
近年では、プラスミドDNAの導入が困難な神経細胞や初代細胞において、mRNAを導入することでトランスフェクション効率を大幅に改善できることが確認されており、導入するmRNAの調製にもファージ RNA ポリメラーゼのin vitro転写システムが有効です。
その他、CRISPR Cas9システムのゲノム編集に使用するgRNA(ガイド RNA)の調製や、リアルタイムRT-PCRの絶対定量を行う場合のスタンダードRNAの調製などさまざまな研究に利用されています。
本稿では、in vitro転写でRNA調製を行う場合の適切な製品の選択、およびRNA合成を行う場合のポイントおよびトラブルシューティングを紹介します。

in vitro転写システムの選択
当社のMEGAscript™ テクノロジー(特許申請済)は、酵素反応を阻害する高濃度のヌクレオチド濃度下でも高活性を維持できることから、ラージスケールのin vitro転写反応が可能です。
操作も簡単で(図1)、20 μLの反応系(1 μgのDNA template)で最大120~180 μgものRNAの合成が可能です。

----- RNA合成 引用終 -----
 

Pfizer/Moderna COVID-19ワクチンでは、スパイク蛋白質遺伝子のDNAコピーがmRNAの合成鋳型となり、大腸菌(E.coli)のバクテリオファージT7に由来するRNAポリメラーゼにより合成が行われる。
このDNAコピーはプラスミド、細菌細胞内で存続し増殖できる環状DNA分子上に保持される。

mRNAワクチンが作製鋳型DNAで汚染されるのを防ぐためには、
mRNAが脂質と結合する前にDNAを除去する必要がある。
原理的には可能であるが、Pfizer/Modernaの精製法は信頼性が低かったようである。

一部のワクチンに含まれる過剰なDNA量は驚くべきものである。
Kevin McKernan は、いくつかのワクチンで残留プラスミドDNAが20~35%も混入していることを発見した。
EMA限界値の約1000倍を超えている。

この汚染がもたらす生物学的・医学的リスクについて:
mRNA自体の逆転写と挿入によるものと本質的に同じである。

6.4 非自己遺伝子のDNAコピーにより発生し得るリスク
6.4.1 非自己遺伝子の染色体組込
プラスミドDNAは染色体DNAにも挿入されることがあり, それはトランスジェニック細胞、トランスジェニック生物の作製に利用されている。

一般的には、体細胞に取込まれたプラスミドDNAは細胞内で独立して存続し、細胞が分裂するときに失われることが多い。しかし、多人数がmRNAワクチン接種を受けており、ワクチンに大量のプラスミドDNAが混入していたことを考慮すると、一部に挿入イベントが発生していたと推測せざるを得ない。

6.4.2 DNA挿入の影響
LINE-1 レトロトランスポゾンでも、DNA挿入は乱雑位置に起るが、
不活性遺伝子のDNAはヒストンとの複合体に固く詰め込まれて接近しにくくなるため、
DNA挿入は転写活性のある遺伝子内部または近傍で選択的に起こると考えられる。

プラスミドDNA挿入も乱雑位置に起こる。
そのような乱雑位置への挿入は、細胞のゲノムに対して異機能をもたらす可能性がある。

6.4.2.1 遺伝子不活化
遺伝子内に挿入が起こり、それを破壊することがある。
その結果、重要な細胞遺伝子産物(タンパク)が失われ、癌などの疾患が発生する可能性がある。

レトロウイルス・ベクターは宿主細胞のゲノムに効率よく組込まれるように設計されているが、
それは、安定した組込みのみが問題遺伝子欠損を修復するからである。
プラスミド・ベクターでは、挿入速度は数桁遅くなるが、プラスミドDNAの染色体への挿入はin vivoで証明されている。

6.4.3 プラスミドDNAは培養細胞を不死化させる

健康なヒトや動物臓器から細胞を分離し、細胞培養で増殖させると、限られた世代数で分裂した後に死滅する。対照的に、悪性腫瘍および白血病由来の細胞は無限に増殖可能である。
健康な体細胞を癌細胞に変化させるのと同様の変化が培養細胞にも起こることがあり、その場合、培養細胞は不死化し、典型的には起源組織の特徴を失う。
この形質転換は、腫瘍ウイルスを感染させることにより容易に誘導される。

特異的な発癌活性をもたないプラスミドを用いた場合にも、この現象が起こる。
これらの例は、増殖の制御に関与する細胞遺伝子の破壊または調節異常から生じたに違いない。
破壊の根底にあるものと同様の分子事象は、ヒトの体細胞内のワクチン由来DNAでも起こると予想される。

6.4.3.2 生殖細胞への組込
Pfizerの動物データでは卵巣に高レベルのワクチン蓄積があることが示されている。
さらにLINE-1や他のレトロトランスポゾンには活性があり、ヒト卵母細胞にゲノム挿入を引き起こす。
これら知見を総合すると、mRNA遺伝子配列は卵母細胞DNAに組込まれている可能性がある。

<? ウリジンがシュード・ウリジンに置換されたコードでも組込まれるのか?>

6.4.4 外来抗原の持続的発現
コードされた抗原の発現を誘導するにはワクチンのmRNAで十分である。
その発現は短期間で終わる。
in vitroデータからは、メチルプソイド・ウリジンによる修飾は、mRNA が存続する間にコードされた抗原の産生量を増加させるが、発現期間を有意に延長させることはないと、されている。

別の証拠: ワクチン接種後に観察されるスパイク蛋白質の発現期間
ワクチン接種者を対象とした複数の研究で、スパイク蛋白質自体とそれをコードする核酸の両方が、
注射後、数週~数カ月間にわたって血流中、様々な臓器で検出できる。
In vitro, in vivoの「違い」を解釈できなかった。
プラスミドDNA が長期間存続し、そこからスパイク蛋白質が発現するという事実は、この相違の説明である。

スパイク蛋白質発現と自己免疫炎症は相関する。
mRNA遺伝子の DNAコピーにより誘導されるスパイク蛋白質の長期発現は、炎症期間を延長す。


<続く>


=== 第7章 COVID-19 mRNA ワクチン有害事象の疫学的調査

7.2.4 COVID-19 mRNAワクチン接種後に発生した有害事象・調査
65歳以上の有害事象
凝固障害、肺塞栓症、急性心筋梗塞、播種性血管内凝固症候群、免疫性血小板減少症

発生率上昇
アレルギー反応、不整脈、心血管イベント、凝固、出血、消化管反応、眼反応、性器反応、血栓症、心筋炎、リンパ節腫脹、虫垂炎、帯状疱疹

7.3.4 心筋炎
リスクが高いのは若年男性である。
若年者の突然死の~20%が心筋炎による。
生存率: 1年後80%, 5年後50%

発生率: ワクチン接種100万回当10~100例
心筋炎に加えて、心臓・有害事象である高血圧クリーゼおよび上室頻拍のオッズがインフルエンザワクチン接種者と比較して上昇した。

7.4.1 血栓
Wong: 65歳以上 Pfizer BNT162b2 ワクチン接種と血栓状態{肺塞栓、播種性血管内凝固症候群、免疫性血小板減少症}との関連を示した
mRNA ワクチンは脳静脈血栓症、動脈血栓塞栓症、虚血発作、冠動脈疾患、凝固障害、脳血管疾患との関連性が認められている。

7.5.4 神経疾患
出血性脳卒中: リスク1.38倍上昇、
ベル麻痺: リスクが1.36~2.51倍上昇
感音難聴: リスクが1.35倍上昇

7.6.1 帯状疱疹
接種者では1.80~5.82倍高く発症

7.7.6 生殖障害
月経不順、有害な妊娠転帰、胎児・異常、男性の生殖障害←傾向のみ

7.8 状況
金銭的利益相反がなく、ワクチン接種群と非接種群の健康out-comeを直接比較した疫学研究はない。
入手可能なevidencesから;
mRNA ワクチン接種後、障害、死亡に関して懸念すべき状況がまとめられ始めている。
これらは、接種後数日~ 6週間以内に観察される短期効果である。

慢性の心臓、血栓、神経、免疫、生殖、その他器官の機能不全として発現するには、数カ月~数年かかる。

 

=== 2023.10.12 筆者コメント

他の章も読みました。が、主張に賛同できない部分もあります。

それで、これ以上の内容紹介は致しません。