私は香水のガーデニア(クチナシ)もチュベローズも苦手だ。
かつて所有していたガーデニア香水のペンハリガンのエレニシアは纏っていると疲れてしまった。どこが苦手かと言うと息も出来ない程に濃厚で濃密な圧倒されるラクトニックな甘さと・・・・要はマミーとかヤクルトを煮詰めたような甘ったるさが苦手なのだ。
そんな私が唯一所有しているチュベローズ香水はゲランのジョワイユーズチュベローズ、瑞々しいグリーンさと透明感があり天国の香りだと思っている。最高だ。これ以上ない。
一方で生花のクチナシが大好きで花芽から蕾となり開花し枯れるのを観察する。開花したての傷一つない無垢な白い花からはグリーンな爽やかさとホイップクリームのような甘美さ、萎れゆく茶色い満身創痍の花からはずっしりとアニマリックな妖艶さを感じる。
ディヴァンシェについて公式によると、コンセプトでありながら漠然としていた「天国の香り」が具体化したのは、2023年6月にフォス社長とピュアディスタンスジャパン代表サチさんとの会話に挙がった「和クチナシ」が決め手となり開発が進んだとある。
キーとなった2023年6月は都内某所でパピリオの発表会が行われ、来日していたフォス社長ももしかしたら咲いているクチナシに鼻を突っ込んで昇天したのかもしれない。 もう2年も経つのか・・・夜行バスで行ったおもひで・・・
しかもサチさんがクチナシの花をアンフルラージュ(冷浸法:固形もしくはクリーム状の油脂に花の香りを移し香料を抽出する方法)したというから驚きである。それを受け取った調香師のナタリー・フェストエアさんがどのような香水に・・・いや天国の香りに昇華させたのか。
DMに封入されていたムエットではプラムの様なコクのある甘酸っぱさが鼻をかすめ、大きな濃い緑の葉と白く繊細な花びらが見えるかのようで、透明感のある甘やかさは生花の様なグリーンバニラホイップクリームそのものだ。どこかメタリックさも感じる。
何より今までの作品は複雑なブーケだったがディヴァンシェは梔子の為に他の香りが添えられている。
そしてこんな弱小ユーザーにはもったいないほどのおすそ分けを送ってくださったのでありがたく試させて頂く。
まずムエットでテイスティング、DMのそれよりもはっきり情報が読み取れる。
瑞々しくもまろやかに発酵した果実が香る、この発酵した感じをプラムっぽいと表したのだがノートをみて納得。梔子の輪郭をジャスミンやチュベローズが描き彩っていく、親和性の高い両者の相性は言わずもがな。そこに渋みのあるウッディもほんの少し。
肌に乗せると生き生きと鮮やかに語ってくれる。
天使が甘酸っぱいフルーツを使ったカクテルを持ってきて、どこからともなくガーデニアやチュベローズのクリーミーでホイップクリームの様な香りが漂い、先ほどの天使たちは柔らかい陽がキラキラ注ぐ暖かな庭でラッパをプープー吹いて遊び微笑んでいる。
拡散性は低く香り立ちも優しい、ウッディさはあまり感じない。
ディヴァンシェが天使の飛び交う穏やかなイメージだとすると、ジョワイユーズチュベローズは緑深き庭園でカリスたちが休息しているイメージだ。
ちなみにこれを付けてはいけないシチュエーションがある。
掃除をしていたらなんともいたたまれない気持ちになり懺悔したくなった。
トップ:熟したアップル、パイナップル、洋梨
ミドル:ガーデニア、インド産チャンパカフラワー・アブソリュート、インド産サンバックジャスミン・アブソリュート、インド産チュベローズ・アブソリュート、へディオンHC、ヘリオトロープ、クリーミーノート
ベース:シャム・ベンゾイン・レジノイド、インテンス・ウッド、アンブロキサン、アンブレット、ムスコン