魂は売るものじゃなかったのかもしれない。捧げるものだったと今気がついたの。
1月24日。青田サナ。
愛じゃない恋でもない
若干の空虚感に虚しさ
そんな言葉がぴったりの結婚をしたわ。
青田聡は長男。
聡の父親は大会社の代表取締役。
聡の母親は華道一筋のセレブ姑。
聡の弟さんは父の会社の役員-将来確実に会社を継ぐ。
私は--父がアパレル関係の会社を立ち上げていて中古車も販売してる
いわゆるちょっと裕福な家庭育ち。
母は思いっきり主婦してるわ。
ちなみに私は長女-一人っ子。
この構図を見ていただいたら、、皆さん思うことは一つでしょうね。
結婚への道のりは前途多難だったわ。
いばらの道--いえ、針のむしろと表現した方が良いのかもしれないわ。
地獄絵図といいましょうか。
いわゆる聡は見た目は割と普通の親父臭い風貌。
しかし中身は強烈な変態級の性癖を持つ超ドMモンスター。
その世界ではかなり有名みたいだけど。
もちろんそんな事、聡の家族が知るわけもなく。
結婚しましょうかって二人の間で決まってからは幾度となくドトールコーヒーで会議をしたわ。
お互いのなれそめはどうする?
お互いどこで出会ったことにする?
お互いプレイしか知らないから自己紹介しない?
趣味は?特技は?学歴は?すきな食べ物は?酒のむ?カラオケいく人?
なんてお互いの情報を急ピッチで頭に記録させていったわ。
もちろん 聡は外では普通のちょっと老けた親父キャラよ。
ドトールコーヒーで会うときにはいつも普通のスーツに身を包んだいわゆる(普通)
でもそのスーツの下にはいつもどぎついカラーの女性用の下着をつけていたわ。
シャツから透けているんだもの。皆会社では見て見ぬフリだったのかしら。
そうやって何度もお互いが情報を暴露しあう中で私は聡に対してだんだんと興味を失ったのも事実だわ。
だって私の家族のことを
:学歴があまり高くない家だね
って発言したんだもの。性の部分だけあがめられてそれ以外の部分では見下げているような聡の数々の発言には
許せないものを感じたわ。
でも、こんなものかしら?と自分自身を無理やり納得させていく中で
私は結婚という名の儀式に何の興味もわかなくなっていったわ。
人生最大のイベント。大切な儀式。
でも私にとってみれば愛のない空虚な儀式だったのよ。
初めて聡のご両親に挨拶に行ったとき
ご両親はあからさまな差別をしたわ。
私以外、みな美味しそうな和菓子に抹茶。
だけど私には水だけだったの。
水道水のね。
聡はその光景にドギマギしながらも何の一言もなかった。
隣でおいしそうに(ママ、この抹茶おいしいね!)なんて言いながら
私は水だけ飲んだわ。
相手の両親は笑顔なし、会話なし。
聡も挨拶なし。仕方なく私から切り出したの。
すると聡の母親の美佐がこういったわ
:でしゃばりなお嬢さんだねえ
申し訳ありませんでしたと頭を下げる私に
母親の美佐はこういったわ
:人様に頭を下げるときは両手をつかないと駄目だよお
ほぼ土下座状態で謝罪をした私に
母親の美佐はこういったわ
:人の家にあがりこんで、手をつかれても困るねえ
そこで帰ればよかったのかしら。
道を間違えたのかしら。
でも既に受け取っていた聡からの1000万で私は彼と彼の両親に魂を売ったの。
愛もないのに結婚へ導かれたんじゃないわ。
聡から、人生の調教をお願いいたしますって告白されたときに
私は聡を信じたわ。
一風変わった愛の告白ね なんて感じながら
空虚感を感じながらも 私は聡を生まれてはじめてかわいい、愛おしいと感じたの。
1000万のお金は私にとって見れば大金の類には入らなかった。
私の当時の稼ぎと同等の金額だったから金銭感覚が狂っていたのよ。
1000万の価値。
それは聡の愛情と私を繋ぐ絆だった。
エキセントリックな聡に興味を感じていた。
愛するかもしれなかった。
心の底から燃え上がる恋にしたかった。
怖かったけど 結婚に突き進んだ私を待ち受けたのは
聡の裏切りと姑美佐のいじめ行為だった。
■魂は売るものじゃなかったのかもしれない。捧げるものだったと今気がついたの。
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