先日 テレビで「なんでも鑑定団」を見ていて
ゲストの大橋巨泉が鑑定依頼した絵を見て「あれっ?」と思いました。
以前 とある洋書屋さんで見たことのある感じの絵だったのです。
私がその絵に強烈な印象を持ったのには理由があり、実に特徴のある牛が二頭 描かれていたのですが
いかにも子どもが描いたような一見ヘタウマなタッチで、牛には上下にまつげがきちんと描かれてありました。
うちの長男のがよっぽど上手いなぁなんて思った程でしたが
なぜか温かくて、何だかいつまでも眺めていたい絵でした。
時間がなくて、作者までは調べることなく洋書屋さんを後にしたのですが
まさかこんな所で再会するなんて(*^o^*)
その画家の名は、モード・ルイス。
1903年~1970年、カナダはノバスコシア州の小さな海辺の村で生涯を終えた女性。
幼い頃 小児麻痺を患い身体が不自由だったため、学校ではいじめにあい
ほとんど教育を受けることなく、父母と自宅で過ごした。
その頃、母が趣味にしていたポストカードの絵つけに魅了され 母に習い才能を開花したという。
彼女の描く絵のほとんどが村の暮らしや、家畜、花や海などの、素朴で色彩豊かな日常のもの。
技法はめちゃくちゃで、遠近感も影もなく、人や動物の大きさもちぐはぐで
パレットを使わず、絵の具を混ぜることを嫌ったため
油絵の具本来の鮮やかな色味が特徴です。
父母を亡くし、兄弟とも生き別れ、しばらくは孤独な日々を送ったが
その後 貧しい漁師と結婚し、家計を助けるためにまたポスト・カードに絵を描いて売り始め
評判が評判を呼び、そこから本格的に画家として活動を始めた。
夫と暮らした小さな小さな家の家具や壁には、彼女によるたくさんの動物や花が描かれてあり
彼女の没後
「モード・ルイス・ペインテッド・ハウス」として完全な形でノバスコシア美術館のギャラリーに復元
展示してあります。
障害により不遇な半生をおくるも
才能豊かで、常に笑顔を絶やさなかったモード・ルイスの温かな色の世界。
彼女の優しい微笑みが浮かんできそうな作品です。
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The Illuminated Life of Maud Lewis
著者:Lance Woolaver |