気になる彼は…7 | ギイタクと時々クロネコ

ギイタクと時々クロネコ

大好きなギイタクを勝手に妄想しています。
話は全て、原作設定とは関係のないパラレルです。
お気を召さない方はご遠慮ください。

託生が泊まる部屋は、一番広いゲストルームを用意させて・・・。

でも、恐らく託生は、

「こんな広い部屋・・・」と遠慮するだろう。

そしたら、

「なら、オレの部屋で寝る?」と誘うんだ。

もう一台ベッドを入れてもいいし、キングサイズのオレのベッドは二人で寝ても余裕のある大きさだ。

・・・駄目だ。

託生と同じベッドに寝て、手を出さずにいる自信は、全くない。

同じ部屋で一晩過ごすと想像しただけでヤバいのに。

 

期待が膨らみ過ぎたオレは、翌朝使用人に手伝わせて、ベッドを一台部屋に入れた。

飲み物と一緒に見る映画のDVDも用意して、何度もシミュレーションをして、託生を迎え入れる準備万端で待ち合わせ場所に向かった。

 

 

「え・・・?お兄さんも、泊まるんですか?」

笑顔が引きつる・・・。

待ち合わせに30分近く早く到着したオレとは対照的に、時間ピッタリに現れた託生と尚人。

相変わらずの仲睦まじい様子に、ただでさえ笑顔を保つのに苦労しているというのに。

「一人で泊まるのは嫌だって言うものだから。急で悪いけど、僕も一緒にお邪魔させてもらってもいいかな?」

本当に、邪魔です。

「・・・・・・」

予想外の展開とショックで、頭が上手く働かない。

託生は、オレと目が合うとすぐに尚人の後ろに隠れてしまう始末。

「友人の家に泊まるなんて初めてで・・・、こんな調子なんだ」

兄の後ろで身体を縮めている託生を見ていると、強引に誘ったら逃げられそうだ、ということは早々に分かってしまった。

「無理なら、夕食だけ付き合ってもらえればいいんだけど。適当な時間に、託生を僕の部屋まで送ってくれたらいいし・・・」

「そんな、うちには客室はたくさんありますから、お兄さんも遠慮なく、どうぞ泊まってください」

「そうかい?ありがとう。でも、僕は託生と同じ部屋でいいからね」

「ああ・・・、そうですか」

だろうな。

この仲良し兄弟が、わざわざ別の部屋で寝ないよな。

「・・・ごめんね」

まだ兄の背中に隠れている託生は、顔だけちょこっと出して、気まずそうにオレを見る。

「いいよ。一人泊まるのも二人泊まるのも大差はないから」

 

そうだ、託生が家に来てくれるだけで良いんだ。

こぶ(尚人)付きだったとしても・・・。

少なくとも、尚人がバイトに行っている間は二人きりになれるじゃないか。

 

そう思い込もうとしても、膨らみ切った期待は、なかなか萎んでくれない。

 

・・・ああ、がっかり。