お見合い大作戦!ーギイタクver.ー8 | ギイタクと時々クロネコ

ギイタクと時々クロネコ

大好きなギイタクを勝手に妄想しています。
話は全て、原作設定とは関係のないパラレルです。
お気を召さない方はご遠慮ください。

もうすぐ全員が告白を終えて、ギイが答えを出す。

今動かなければ、ギイとは何も始まらない。

それは分かっているのに、足が動かない。

 

「お前、なにやってるんだよ!」

その声に隣を見ると、高林泉が立っていた。

アーモンド形の大きな目を吊り上げて、どうやら怒っているみたいだけど・・・。

「どうしてここに?」

ギイに告白しないの?

「なんでギイのところに行かないんだよ?」

「それは・・・、高林くんこそ、行かなくていいの?」

告白した相手に差し出す花も、その手に握られたまま。

「僕はいいの。ギイより良い男見つけちゃったからさ・・・」

そう言って大きく手を振っているその先には、背の高いとても優しそうな青年が。

恥ずかしそうに、小さく手を振り返している。

参加者じゃないようだけど、スタッフの方かな?

いつの間にそんなことに??

「だから、僕のことはいいの!葉山はなんでギイに告白しに行かないんだよ?・・・まさか、僕に遠慮してるの?」

確かにそれもあるけど、それだけじゃない。

「告白する振りして向こうに並んだけど、それは葉山を焦らせたいっていうか、ちょっと意地悪してやろうって思っただけだし。とにかく、ギイは葉山のこと待ってるって」

「・・・そんなの分からないじゃないか」

だって、ギイは全然こっちを見てくれない。

「分かるんだよ!・・・ああ、もうこんなこと教えたくなかったけど、僕は一年もギイを追いかけてたんだよね。葉山なんかより、ずーっとギイのこと知ってるの。ギイはあの通り、どこに行ってももてるけど、自分から声を掛けてる所なんて初めて見たんだよ」

「・・・え?」

「だから、葉山はギイに、めちゃくちゃ特別扱いされてるってこと!ギイの気が変わらないうちに早く行けよ」

どんと背中を押されても、まだぼくの足は動いてくれない。

今日はギイと目すら合っていなくて・・・、

どうしてもギイに想われているとは思えない。

「でも、もう気持ちが変わっちゃったかもしれないし・・・」

「あのさぁ、ギイが、じゃなくて、葉山はどうしたいわけ?」

泉の言葉にはっとした。

「ぼくは・・・」

 

もっと、ギイと話したい。

もっと、ギイのことが知りたい。

 

それが、ぼくの本音。

 

ギイみたいに素敵な人が自分を本気で相手にするはずないと決めつけて、ギイの言葉を信じられずにいた。

彼の言葉を真に受けて、後で傷つくのが嫌だった。

でも、このまま終わるのは・・・、もっと嫌だ。

傷ついたとしても、自分の気持ちを、ギイに伝えたい。

いつまでも受け身でいたら駄目なんだ。

ギイがぼくに選んでくれと言ったのは、ギイと付き合うかどうか、自分で決めろってことなんだ。

 

「ほら、これ持っていけよ」

渡された一輪の薔薇。

「ありがとう」

ぼくはそれを受け取って、ギイへと一歩踏み出した。