Let's become a family! 99 | ギイタクと時々クロネコ

ギイタクと時々クロネコ

大好きなギイタクを勝手に妄想しています。
話は全て、原作設定とは関係のないパラレルです。
お気を召さない方はご遠慮ください。

◇◇◇数日前

 

何年も前から進めてきたプロジェクトの契約締結の日、島岡と二人、先方が来る前に最終チェックをしていた時、書類の間からするりと落ちてきた名刺。

「・・・島岡、これって、相手方の弁護士チームの一人じゃないか」

まさにこれから来る客人の弁護士の中の紅一点、10人男がいたら10人が振り返りそうな美人だ。

(オレは見向きもしないがな)

「おや、こんなところに名刺を忍ばせておくとは、なかなか油断ならない女性だ」

名刺を見せても顔色一つ変えやしない。

「先日一緒に飲んだんですよ。偶然バーで会いまして」

意味深な笑み。

偶然なわけないだろうが。

「おいおい、まさかスパイされてないだろうな?」

「私が、ですか?」

色仕掛けに負けて、情報を漏らすような男じゃないか。

それに今回の契約、随分とうちに有利な内容になっている。

島岡を落とせると踏んで近寄ったとしたら、自信家な女だな。

ミイラ取りがミイラになったか・・・。

「むこうはそのつもりだったようですけど、私のタイプではなかったので・・・」

「へぇ~、島岡の好みのタイプ、・・・興味があるな」

「そうですね・・・」

誰かを思い出すように、少し視線を上げて、

「大人しくて控えめな方がいいですね。でも芯は強い。一歩下がって男を立てる、大和撫子みたいな方がタイプです」

そう言って、にやりと笑ってみせる顔は、普段仕事中は見せることのない男の顔だった。

 

大人しくて控えめで、でも芯は強い・・・、大和撫子。

それって・・・、

託生に当てはまらないか?

 

 

◇◇◇

 

 

「嘘だぁ。島岡さんがこんな名刺をもらうなんて・・・」

「あいつだって男だぞ。女遊びの一つや二つするだろう?」

「じゃあ、なんでこれをギイが持ってたの?」

「それは・・・」

あの後、島岡の爆弾発言(?)と一時間も早く先方が到着したこともあり、バタバタと書類を片付けたから、名刺は自分の内ポケットに入れて、そのまま失念していたのだ。

「なんか、都合よく島岡さんのせいにしてない?」

「してない!これは本当に島岡が貰った名刺なんだ!」

「島岡さんがって・・・、そういうの想像できない」

「託生が島岡のあれこれを想像しなくていい!」

話を聞いていた絵利子までもが、怪しいという目でオレを見ている。

 

くそっ、契約の為、島岡がスパイされている振りをして、逆に情報を引き出していたなんて、絵利子はともかくとして託生には言えない。

そういうのは駄目なやつだからな。

それになにより、島岡のタイプ云々の話はもっと言いたくない。

 

「パパ、アヤシイの?」

「うん、とってもアヤシイ」

「こら、望未にまで変なことを教えるな」

 

結局その後、島岡に電話し、直接託生と話をして・・・、

やっと信用してもらえた。