Let's become a family! 34 | ギイタクと時々クロネコ

ギイタクと時々クロネコ

大好きなギイタクを勝手に妄想しています。
話は全て、原作設定とは関係のないパラレルです。
お気を召さない方はご遠慮ください。

章三に教えてもらったレシピ通りに作ったおじや。
出来栄えも完璧だと思っていた。

「どうだ?」
「うん、美味しいよ」
そう言う割に、一口食べたきり手が止まっている。
「じゃあ、もっと食べろよ」
「うん・・・」
今度はスプーンでかちゃかちゃかき混ぜるだけ。
「託生?やっぱり味が違うのか?」
「味っていうか・・・、人参が入ってる」
それは、章三の指示通り細かく刻んで入れた人参だぞ、駄目なのか?
「こんなにいっぱいあちこちに入ってるから、よけて食べることもできないし・・・」
「細かく刻むのがポイントって書いてあったから、そうしたんだけど?」
「赤池くんが作ってくれたのは、もっと小さく刻んであって、言われるまで気づかないくらいだった」
「・・・・・・」
オレなりに上出来だと思うくらい小さく刻んだのに、章三の包丁さばきとオレではそもそもレベルが違うということか・・・。
「ごめんね、ギイがせっかく作ってくれたのに文句を言って。・・・全部食べるから」
そう言って、青白い顔でおじやを口にする託生。
ただでさえ悪阻で辛いのに、嫌いな人参まで食べさせるのは可哀想だ。
「無理して食べなくていいぞ。章三に聞いてもう一度うまく作るから」
「ごめんね。でも次作る時は、人参入れないでね」
申し訳なさそうにスプーンを置いた託生は、代わりにフルーツを少しつまんで、それ以上何も食べなかった。

章三め、人参を細かく刻むなら、もっと「細かく」を強調しろよ!
わざとじゃないだろうな。
あと他に、オレに教えてない隠し味が実はあるとか・・・。
ああ、疑い出すときりがない。
とにかく託生に少しでも食事をさせなければ。
フルーツだけで栄養が取れるわけない。
しかし、この悪阻+偏食、どうしたものか・・・。
やっぱり章三を連れてきた方がいいか?
いやいや、これ以上章三の株が上がるのは避けたい。
なんとしてオレが完璧な章三のおじやを作ってみせる!