Let's become a family! 2 | ギイタクと時々クロネコ

ギイタクと時々クロネコ

大好きなギイタクを勝手に妄想しています。
話は全て、原作設定とは関係のないパラレルです。
お気を召さない方はご遠慮ください。

初めて発情期を迎えたのは、祠堂の卒業式を間近に控えた時だった。
ぼくはその時実家にいて、突然起こった自分の身体の変化に戸惑った。
身体がかーっと熱くなり、お腹の奥から何かが湧き上がってくるような感覚。
ギイとしたくなって身体が疼く時があったけど、これはそんな可愛いものじゃない。
とにかく身体が熱くて熱くて、どうにかなりそうだった。

そんなぼくを助けてくれたのは母だった。
すぐにぼくを車に乗せて病院に連れて行ってくれた。
病院で点滴を打たれ、身体の疼きは治まり、ぼくは医師から自分がオメガであることを告げられた。
ぼくは言葉を失うくらい驚いたのに、母は冷静だった。
母はぼくがオメガだと知っていたのだ。
兄とのことが露見し、ぼくが精神病院に連れて行かれた時に受けた検査で、ぼくがオメガだと分かったらしい。
オメガの発情期が始まるのは10代の後半と言われている。
母はいつかこんな日が来ると、オメガの受診を専門とする病院を調べ、準備をしてくれていた。

点滴が終わると、発情期を抑える薬を処方され、家に帰っていいとなった。
帰りの車内。
「ぼくがオメガなんて、驚いたよね?」
ぼくがぽつりとつぶやくと、母のハンドルを持つ手が少しだけ震えた。
両親がその事実を知らされたのは、兄との関係を知った直後。
「・・・そうね。お医者様からは発情期前のオメガは無害で、例えアルファとオメガであっても、血のつながった兄弟がそのフェロモンに惹かれることはないと説明されたけど、あの時は託生が悪いんだと思い込んでしまって・・・」
ぼくはオメガだから・・・、
ぼくが兄を誘った、兄のその言葉を裏付けてしまったのだろう。
「本当に、託生にはひどいことをしたわね。謝って許されることではないけど・・・」
「いいんだ。もう、いいんだ」
だって、母はぼくの為に、発情期を迎えた時の為に、準備をしていてくれた。
病院についてすぐに受診できたし、母は以前からぼくのことを病院に相談してくれていたのかもしれない。
「それよりも、運転に集中してよ」
普段は運転しないペーパードライバーの母の方が心配だよ。
ぼくは窓の外に視線を移して、遠い海の向こうにいるであろう恋人へ思いを馳せる。
ぼくがオメガだと、ギイが知ったらどう思うだろう?
ギイはきっと、いや間違いなくアルファだ。
ぼくとギイの子供ができるかもしれないと言ったら、ギイはどんな顔をするんだろう。


ギイ、今どこにいるの?
ぼく達は今はただ離れているだけで、別れたわけじゃないんだよね?
会いたい。
君に会いたい。