子供の頃の話なんですが、
おばあちゃんちの縁側で、いっしょに
おせんべいとお茶でまったりしてたんです。
おばあちゃんのヒザにはネコ(ぴー)がぐっすり。
まさに日本の古き良き風景とでもいうんですかね。
庭も広くて、小さいけど池なんかもあるんです。
そんな時おばあちゃんが言ったんです、
『そろそろかね~。』って。
で俺が、何が?って聞いたら、
どうやら鳥が来るらしいんです。
一年に1回、この庭に白い鳥が2羽飛んでくる
みたいなんです。
ちょっと鳥には詳しくないんで
わかんないんですが、
白鳥っていうかトキとか鶴とか
そんな感じのやつです。
それが、そろそろ来るんじゃないかって
言うんです。
そんなおばあちゃんの話を
聞きながら庭を眺めてました。
おばあちゃんのヒザで寝てたネコ(ぴー)は、
むっくり起きだして大あくびと
ノビーってのしながら、ゆらゆらと
どこかに消えていきました。
いい天気だな~。
釣りでもしに行こうかな~。なんて
空を眺めていたら、
フワーっと。
来たんです。ほんとに。
白い鳥が。
一年に1回しか来ないという、
その鳥が。
おばあちゃんスゲー!って思いました。
もう興奮しまくりです。
鳥は庭にある池のそばに降り立って、
まるで、おばあちゃんに今年も来たよ、
とでも言ってるようでした。
おばあちゃんも、嬉しそうでした。
白鳥はとても優雅で、
毛づくろいやら池の水をつついたり。
2羽の鳥は夫婦だねー、みたいな話を
してました。
その時です。
とんでもないことが起きました。
すっとんでもないことが起きたんです。
『ズザザザザーー!!!』(いきなり飛び出してきたピー“ネコ”)
『バサバサブワサッー!!』(あわてる鳥)
『フギャギャミ゛ャーッ!!!』(興奮するネコ)
『キキョエェェェーー!!!』(鳥の悲鳴)
『フグールルル』(噛み付いて放さないネコ)
『ケフッケフッケッフッ』(お茶が気管に入ったおばあちゃん)
『キキョエェェェーー!!』(鳥の苦しむ声)
『フギャギャミ゛ャーッ!!!』(トドメをさすネコ)
『・・・・・・・・・・』(高い所に逃げれた方の鳥)
『キョ・・・。』(鳥の息絶える声)
口のまわりを真っ赤にしたピーが
誇らしげに、こっちを向く。
あっけにとられる俺。
日本の古き良き風景が一転して
血塗られた弱肉強食の世界みたいな。
テレビのサバンナの掟みたいな。
それを見た
おばあちゃんのすごいところは、
何事も無かったかのように
居間のほうに行きテレビのスイッチを入れた。
どうやら大河ドラマの時間みたいだ。
新聞のテレビ欄を大きな虫眼鏡みたいなので
確認して、テレビを見始めた。
さすが戦火を乗り越えてきた経験は
伊達じゃない。
こんなことは、きっとなんでもない事なんだ。
俺はスコップを片手に墓をつくりましたとさ。
それを残された方の鳥がいつまでも見ていました。
ネコは、逃げたほうの鳥を捕らえるべく、
どっかに身を隠したようです。
なんか世の中の縮図です。
めでたしめでたし。