5月8日は新暦での俊太郎さまのお誕生日……ということで、大遅刻ですが超短文なSSでお祝いさせていただきますね| 壁 |д・)
俊太郎さま、187歳のお誕生日おめでとうございます!!
でも私の中では永遠の三十男デス(*ノωノ)
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
あれま、まだ続いとる。あのふたり、わてがお使いに出とったあいだずっと同じやり取りしてはったんやろか。
「ついこないだは祇園で、今宵は島原でっか。ええ御身分なことや」
「はは、すんまへん」
「仕事にも同じように、気ぃ入れてもらいたいもんどすな」
「へえ、重々肝に銘じておきますよって」
番頭はんの小言はいつものことどす。じねんじょみたいにねちっこくてねばっこい。
旦那はんはといえば、はははと笑うて上手に受け流しはるから、番頭はんの口はますますへの字に折り曲がります。
せやけど、旦那はんが店の仕事詰めてはるのは確かにめずらしい。明日は雹でも降るんやないの。
「ああ、とめはんおかえり」
ああほら、そないへらりと笑うてはるから番頭はんの怒りが余計大きゅうなりますのやで。
「ただいま戻りました。旦那はん、手島屋はんが文の返事を催促してはりましたえ」
「ああ、そやそや。ほなわては裏に戻りますよって、番頭はんあとはよろしゅう」
あっという間に逃げてしもた旦那はんの背中に、番頭はんの視線が刺さっております。
もう、痛々しくて見てられへん。
「失礼いたします。おぶお持ちしました」
「おおきに。有難うさん」
おお、ほんまに文書いてはる。逃げの口実だけやなかったんや。
それにしても相変わらず綺麗な字ぃやこと。
「とめはんには恥ずかしいところを見られてしもうたな」
「今更何言うてはるんどす。旦那はんが恥ずかしいと思うようなことで、わてが知らへんことなどありますか」
「そら、ないわな」
「そうどす。起きぬけの寝癖頭も、気持ちよさそにうたた寝してはる姿も、ぜんぶ知ってますさかい」
「……それ、あん子には言わんといてな」
書き上がった文はわてがいつも預かって届けております。
もちろん、花街への逢状も。
朝から旦那はんの顔が心なしか緩んでいるのを見ると、今宵のお相手はあのかいらしい新造はんやろな。
「旦那はん、そん顔で玄関出て行かはったらあきまへんよ」
「?なんでや」
「そない、今宵が待ち遠しくてしかたあらへんーいう顔、番頭はんが見たらまた捕まってぐちぐち言われるに決まってます」
「せやけど、待ちどおしいのはほんまのことやからなあ」
「何か特別なお約束でもされてはるんどすか」
「へえ、あん子の故郷では生まれた日を“誕生日”言うて祝う慣わしがあるそうでな、一緒に祝いたい、言うてくらはったんや」
「ほんなら、今日が旦那はんの生まれた日なんどすか」
妖艶な笑みで遊女を惑わす、なぞ言われる方やのに、こないさわやかな季節にお生まれになったとは。正直びっくりやけど、言うたら失礼やからさすがにやめとこ。
「そら、めでたいことどす。おめでとうございます」
「おおきに。もうええ年やけど、なかなか嬉しいもんやな」
照れ笑いをする旦那はんが、さてそろそろや、と立ち上がりました。
もうじき暮れ六ツ。妓楼に灯りがともります。
「ほな、いってきます」
「いってらっしゃいませ」
今宵は、番頭はんのお小言をとめがお引き受けいたしまひょ。
ささやかな、“誕生日”のお祝いどすえ。
以上、枡屋の上女中とめさんからのご報告でした(・∀・)