ー日本滞在時ー
毎年夏休みの時期になると、できるだ年に一度は花火大会を見に行くようにしていましたが、
関東で開催される大規模な花火大会は、人混みや車の渋滞がすごいため避けていたら、夏の終わり頃、千葉駅付近の小さな花火大会を見つけました。
ところがこれが、何とも言えず小規模な代物でわずか数分で終了。
あまりの短さに、ただただガッカリでした。
せっかくの日本の夏なのに……。
落胆した私は、その夜YouTubeで花火動画を探してみました。
すると、私の地元三河の祭りが、とても素敵に編集されてアップされているのを見つけたのです。
「これぞ祭りだなぁ。」
画面越しにそうつぶやきながら、今年の夏はやっぱり生で見たかった…としみじみ思いました。
地元・三河に住んでいた頃は、豊川の手筒花火や豊橋、蒲郡の花火大会など、毎年のように出かけていました。
中でも特に印象に残っているのは、家族で出かけた豊橋の花火大会です。
花火開始時間ギリギリに到着した時には、すでに人で溢れかえり、前に進むのも困難なほど。
何とか入り込めたのは、桟敷席が組まれた枠のすぐ後ろ側でした。
押し合いへし合いしながら見物していると、
すぐ前の桟敷席に座っていた団体のひとりの男性が、外国人である主人を見て声をかけてきました。
「あんたら、どっから来たの?」
「イタリアです。」と答えると、
「イタリアかぁ、珍しいねぇ。じゃあさ、中に入りん。遠慮せんでいいで、おいでん、おいでん。」
と、手招きしながら桟敷席に入って一緒に座るよう誘ってくれます。
桟敷席って高価な席じゃなかったっけ?
いいのかな~なんて思いながらも、そこは地元民同士。
知らない人達ではありましたが、図々しく入れてもらいました。
私たちのために席を空けてくれ、花火を眺めながらいろいろと質問されました。
「これ飲みん。これも食べりん。」
と、アルコールやおつまみまでご馳走に。
思いがけず、粋であたたかい花火見物を味わった、忘れられない夏の夜でした。
瞬間の美は、手に取って所有することはできず、ただ記憶の中に留めるしかありません。
だからこそ、人はその瞬間を脳裏に焼き付けようとし、より強く惹きつけられるのでしょう。
※画像はスクリーンショットで切り抜いてます。