2年以上前、保護猫譲渡用に作られた一軒家に見学に行った際、オーナーさんが不在だったため、スタッフの方が簡単に施設案内をして下さいました。
アンの友達にと思って行きましたが、まだ2匹飼うことに迷いがあったのと、そこまで気になった猫がいなかったため、そのまま帰ろうとすると、
丁度その時にオーナーさんが帰って来て、「つい先日保護した子なんだけど、見てみる?」
と言われ連れていかれたのは、先程も見せてもらった部屋のひとつでした。
キャットタワーの上の方の箱の中に、ひっそりと隠れていたのがトク。
怯えた顔をして目を吊り上げ、緊張した面持ちでこちらを見ていました。
「可愛がってくれていたご主人が急死されて、奥さんが猫嫌いなので引き取ったのよ。
ご主人が亡くなってからご飯も水も飲まなくなっちゃって、一時期摂食障害になっててね。
まだ一週間前に引き取ったばかりなの。」
こんなに大勢の猫の中で暮らしたことがないため、この環境に慣れない様子のトクを見て可哀そうになり、
思わず抱っこをしていました。
嫌がらず、ただただ抱っこをされていたトクのぬくもりを感じ、先住猫のシャンのことを思い出し、
「やっと会えたね・・・」と涙が勝手にでてきました。
彼の本当の名前は《トラ吉》。
ご主人を亡くすという経験をしたこの名前を変えたくて、
《トラ吉》に音が似ていて、”吉を得る”という意味を込めた《得吉》という名前に変更しました。
アン君との初対面でも、シャーと言ってお互い威嚇をすることはなく、
かと言ってものすごく仲良しという風でもなく、
絶妙な距離感で二人はコタツの中に入っていました。
そして、トクはすぐに私達家族にベタベタと甘え始めたのです。
人間が大好きなんだな~と思っていたのですが、
不思議な事に、他の人が来ると必ず逃げます。
私の姉妹が初めて遊びに来た時などは、あまりの恐怖に、隠れた布団の中でブルブル震えていました。
姉妹も猫が大好きだというのに・・・
また連れていかれるとでも思ったのでしょうか?
アン君は先住猫のシャンにそっくりだったため、一目惚れでしたが、
トクはトクで、またシャンに似ていて、
二人合わせて一つのふたり。
アン君は推定2才の時に引き取りましたが、誕生日は分からないため、私が縁起の良い日にちを誕生日にしてつけました。
そしてその後に引き取ったトクも、保護猫で誕生日が分からない推定3才だったようですが、
なんと、前の飼い主さんがつけた誕生日が、私がアン君につけた縁起の良い日の誕生日と、全く同じ月と日がつけられていたのです!
運命の出合いだったのかもしれません。
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