カナダに移民をして数か月が経ったころ、ある一軒家に出合いました。

 

築50年という古さですが、カナダではこのくらいの築年数の家は当たり前に存在します。
リフォームはされてはいませんが、少し手を入れればいい感じになりそうでした。

家の前と後ろには広い庭があり、前庭には大きなクリスマスツリーのような木が植えられていて、
裏庭には屋根付きの大きなウッドデッキがあり、外で食事も出来ます。

 

居間には薪でくべる暖炉があり、屋根には煙突もありました。


小さい頃、《大草原の小さな家》のような家や家族に憧れていたことがありましたが、

この家は、華やかさはなくても、素朴で温かさを感じる家でした。

スカイトレインの駅からも徒歩で10分ちょっという近さで、のどかな住宅街が広がっています。

 

私達はこの家に一目惚れをしたのです。



当時のバンクーバーは、物価だけでなく、不動産価格も今では考えられないくらい安価でした。

日本円にして2000万ちょっとくらいで中古の一軒家が購入できたのです。

ローンの利子も5年間の固定で5.6%。

しかも当時のカナダでは、信じられないことに、着いたばかりの外国人移民に対しても、特別な審査もなく簡単にローンを組ませてくれました。(今は違うと思います。)

35年のローンを組めば、月々6万円くらいの返済額でした。
(但し固定資産税は年間25万円でとても高額でした。築50年だというのに。)

それでも12年間で割って月々の返済額と足しても、3BRのアパートを借りた場合の賃貸よりは安いのです。

 


私達はこの家が大好きでした。
ブルージェイという美しい青色の鳥や、ハチドリが庭に遊びに来てくれたり、アライグマの家族が庭に出没したり、リスが木の上を登っていたりと、賑やかな風景が広がっていました。


道を挟んだ向かいの家には、中国系カナダ人男性とオランダ系カナダ人女性の、息子と同年代のハーフの子供を持つ家族が暮らしていて、仲良くなりました。

幼稚園と小学校が併設された公共の学校にも、徒歩5分くらいでいけるという便利さです。