前回の続きです。
あの締め付けられて外せなくなった体験をしてからは、付けっぱなしでいるのが怖くなり、
何か特別な場所に行くときだけ付けるようにしていました。
あんなに怖い思いをしたのに、あの不思議なオパールの発色が魅惑的で、どうしても手放すことが出来なくて・・・
そしてあの怖い体験から10年以上経ったある日、
私達のビジネスの関係で、インド人オーナーと会うために、ある高級なインドレストランにふたりで訪れました。
私達の友人がそのオーナーを紹介してくれたため、その友人も一緒に付いてきてくれてます。
まだ17時で、夕食の時間には早く、レストランには私達のグループ以外はお客さんが誰もいませんでした。
私達は一番角の窓際のテープルに案内され、私が窓際の奥、隣に夫が座り、その目の前に友人、隣りにレストランのオーナーが座りました。テーブルは大きく、前の席と適度に距離があります。
私は例の指輪を付けていきました。
私にピッタリのサイズに加工してもらっていたため、抜け落ちることはありません。
以前より体重が増えていたため、また締め付けが起こらないか確認するほどでした。
話し合いをしている時に、サーバーの男性は、料理や水を運んできてくれましたが、もちろん私には一切触れていません。
むしろ窓際の奥の席だったため、私からは距離がありました。
サーバーは一人だけ、
そしてレストランのオーナー、調理場に料理人が数人いただけです。
調理人は調理場に居て、外に出てきませんでした。
私は一度だけトイレに立ちましたが、指輪は付けていたうえ、外したりはしていません。
ビジネスの話は終わり、友人と私達夫婦は電車に乗りました。
ふと指に目を落とすと、オパールの指輪が無くなっていたのです!
急いでレストランに電話しましたが、指輪は落ちていないと言われました。
(きついくらいだったので、落とすわけがありません。)
どこもかしこも探しましたが、見つかりません。
そして、今の今まで見つかっていません。
今でも、どうやって私の指から離れていったのか、検討もつきません・・・
ただ、無くなって残念だという気持ちがありながらも、半分なぜかホッとした気持ちもあり、複雑です。
18世紀にそのオパールの指輪を付けていたご婦人の念が、なにか入っていたように感じていたので。