マルセイユを発ち、今度はエクス・アン・プロヴァンスへ向かいました。
風は強かったのですが、気温が20℃弱と暖かかった為、寒さを感じることはありませんでした。
なだらかな坂が多く、全体的に原色とパステル調の中間のようなカラーを持つこの街は、明るい印象を与えます。美男美女が多く、活気に満ち溢れ、洗練されたシックで上品な装いの人々が幾度となく目に留まりました。
特別古い印象も与えず、モダンでもない建築物、
ミラボー通りには素敵な並木通りが存在し、カフェが建ち並んでいます。
1年中温暖な気候のエクスは、この時期(当時11月)でさえオープンテラスです。
以前は貴族が多く住み、アーティストのパトロンとなっていたと言います。
その為ここはアーティストが多く住む芸術の街でもあり、街のあちこちで、ストリートパフォーマーが音楽を奏でている光景を見かけました。
次の日はニームを訪れ、南フランスのハーブを使った料理を出してくれるという
『Chez Jacotte』というレストランを探しました。
場所がなかなか見つからず、迷いながら辿り着いた時には、店の休憩時間になる14時過ぎ。
店の人はすでに片付けの準備を始めていました。
それでも、わざわざこのレストランを探しにやってきた東洋人の私の為に、特別に料理を出してくれると言います。
“Plat du Jour《本日のお奨めセット》”を注文。
日本円にして1500 円ちょっとという安さでした。
クリームベースのこってりフランス料理は苦手ですが、
南フランスの料理は生クリームはほとんど使わず、塩加減を抑える代わりに、ハーブやスパイスを効かせていますが、とてもインパクトを与える味でした。
イタリア料理とも違う上品さと素朴さが掛け合わされた、日本人好みの家庭料理でした。
野菜タルトの中には、チーズが入っていないのに、チーズの味がほんのりしたり、
ブイヤベースもマルセイユのものとは違った仕上げ方をしています。
魚がプリプリしていて、野菜が多く入っているスープは、フランスパンをつけて食べても美味で、
アンティパストからメイン・デザートまで、美味さのあまり、感激で涙が出るほど温かい料理でした。
ここだったと思いますが、かなり昔なので値段が数倍あがってるでしょう。
と、思って調べてみたら、
Plat du jour は€17(2800円くらい?)みたいです。
円安にしては、それほど高くないですね。
ニームの街は所々ローマ遺跡が残り、これまたエクスとは違った街の風景が広がっていました。プロヴァンス地方とひとくくりにしていますが、街によって雰囲気がガラリと変わるのが面白いものです。
そして南フランスに魅せられた私は、数ヶ月後、エクス・アン・プロヴァンスに引越しをする事に決めたのでした。
付き合っていた当時の彼(現夫)の住むボローニャに引っ越す前に、どうしても観光ビザで滞在出来る3ヶ月間、南仏に暮らしてみたかったのです。


