私の野心家なシェアメイトは、見事ニューヨークでサクセスストーリーを築き上げました。

レストランで働いていた彼女は、その後アメリカ人と結婚してグリーンカードを手にし、ある日本人経営の旅行代理店に就職しました。

 

彼女は上司からの指示に従った仕事をこなすだけに留まらず、休日を返上してまで自分から率先して顧客を掴んでいきました。

 

時には同僚から顧客を奪う事さえしていたようです...


彼女のノルマはかなり上がり、旅行代理店の中でも重要人物になっていったのですが、彼女の野心はそれだけでは終わりませんでした。

その顧客のコネを使い、NYの有名な某ビル内にある、超大手企業に就職する事が出来たのです。

彼女はそこでも人一倍努力したようで、その次に彼女から電話をもらった時には、管理職へと出世し、海外を飛び回っていると報告してくれました。


ニューヨークにはこのようなサクセスストーリーがゴロゴロ転がっています。

 

でもその反面、廃人となっていく人間も多く見ました。

相反する個性の強いニューヨークだけあり、人間模様も真逆です。


ストイックで、ルールに縛られながら生きるだけでは、窮屈だし疲れてしまう。

 

かといって、破壊的な行為も身を滅ぼしていく。


バランスを取るのが大切なのでしょうが、刺激的な街では、そのバランスを保つのがなかなか難しいのかもしれません。

 

強靭な精神と確固たる目的意識を持ち、俯瞰して周囲を眺めていないと、誘惑はそこら中にコロコロ転がっていましたから。

 

 

せっかくオーペア家庭の好意で、特別に5年間のスタディビザを取得出来たというのに、病気になったのをきっかけに、母からの送金は帰りの飛行機代に回し、日本への帰国を決めました。

 

大好きなこの街を去るのはとても残念で、まだまだここで人間ウオッチングをしていたかったのですが、

精神的に疲れてしまった部分もあったのです。

 

 

色々なことが短期間で目まぐるしく起こり、あまりにも刺激が強すぎて、少しだけ人間酔いしていました。