大学に入学したての頃、一泊のオリエンテーションがあった。いわばクラスの親睦会である。同級生が松田聖子の曲をカラオケで楽しそうに歌い始め、今思えば懐かしい楽しい記憶だが、同時に松田聖子のファン層の広さを知った。
‘あなたに逢いたくて’という曲は、ある意味すい星のように登場した曲である。アイドルとしての松田聖子が変わり、まさに本人の実力をもってして国民から支持を得た瞬間が、この曲のミリオンセラーという形で表れた。当時この曲がヒットしたのは、国民が欲していたからではないかと思う。それが偶然なのかどうかはタイミングの問題でもある。
前に何かで書いたかもしれないが、結局一般的な日本人の底に有るのは、演歌だと思っている。それが言い過ぎとすれば、歌謡曲である。ヒップホップ、ハードロック、レゲエやテクノ、ジャンルは広すぎる音楽だが、一般的に日本人が欲しているのは演歌や歌謡曲の持つ叙情性ではないか。それはたぶんこの先も変わらない。そして、松田聖子のこの曲もまちがいなく一般人に受けいれられる歌謡曲であり、本人にとってもこの曲を越える曲を作るのはおそらく無理だと思う。