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前回前々回とOSPFシングルエリア、標準マルチエリアに流れるLSA1~5について考えてみました

「標準マルチエリア」とあるけど、「標準」でないエリアがあるの?
ということで今回はそれら「標準」でないエリアについてです

標準エリア以外については下記4つのエリアがあり、標準エリアに比べてエリア内を流れるLSAを抑制し、エリア内のルータの負荷を下げる事が目的です
  • スタブエリア
  • トータリースタブエリア
  • NSSAエリア
  • トータリーNSSAエリア
今回は、スタブエリア、トータリースタブエリアについてスコープをあてます

スタブエリアのネットワーク構成図


拡大しても図が見づらい場合はこちら

スタブエリアの設定はABRとなるルータとスタブエリアに所属させたいルータのルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area [エリア番号] stub
-----------------------------------------
と設定を入れるだけです

構成図を例にするとエリア0とエリア2のABRとなるR3とエリア2内のR5のルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area 2 stub
-----------------------------------------
と設定を入れます
なお、OSPFネイバーになる条件としてスタブエリアフラグが一致している必要もあります

スタブエリアの特徴としては

・ASBRを設置できない
・virtual linkを中継するエリアにはなれない
・LSA4、LSA5はABRがブロックしスタブエリア内には流れない
・LSA5で通知された外部エリアのネットワークアドレスをデフォルトルートに変換しLSA3で通知


R5のリンクステートデータベースとルーティングテーブルは以下の通りです


show ip ospf database
・標準エリアと同じように他エリアのネットワークアドレスはLSA3で流れます
・エリア2にはLSA4、LSA5が流れないのでリンクステートデータベースに載りません
・LSA5はABRであるR3によってLSA3デフォルトルート(0.0.0.0)に変換して通知

show ip route
・標準エリアと同じように他エリアのネットワークアドレスはO IAとして載ります
・外部エリアのルートがABRであるR3をネクストホップとしたデフォルトルート「O*IA 0.0.0.0/0 [110/11] via 10.0.2.254」として載ります
標準エリアだったときのR5のリンクステートデータベースはこちら
比較してみると、エリア2内に流れるLSAの数が少なくなっていることがわかると思います



トータリースタブエリアのネットワーク構成図


拡大しても図が見づらい場合はこちら

トータリースタブエリアの設定はABRとなるルータとスタブエリアに所属させたいルータで若干設定が変わります

ABRとなるルータには、ルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area [エリア番号] stub no-summary
-----------------------------------------
と設定を入れます

トータリースタブエリアに所属させたいルータには、ルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area [エリア番号] stub
-----------------------------------------
と設定します


構成図を例にすると

エリア0とエリア2のABRとなるR3にはルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area 2 stub no-summary
-----------------------------------------
と設定を入れます

トータリースタブエリアに所属させたいR5にはルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area 2 stub
-----------------------------------------
と設定を入れます
なお、OSPFネイバーになる条件としてスタブエリアフラグが一致している必要もあります

トータリースタブエリアの特徴としては

・Cisco独自
・ASBRを設置できない
・virtual linkを中継するエリアにはなれない
・LSA4、LSA5はABRがブロックしスタブエリア内には流れない
・LSA5で通知された外部エリアのネットワークアドレスをデフォルトルートに変換しLSA3で通知 ・LSA3で通知された他エリアのネットワークアドレスをデフォルトルートに変換しLSA3で通知

スタブエリアとの違いは、スタブエリアでは他エリアのネットワークアドレスもLSA3で通知されていました
トータリースタブエリアでは他エリアのネットワークアドレスもデフォルトルートに変換しLSA3で通知されます
これは、スタブエリア内のルータから他エリア、外部エリアへ通信をするときに必ずABRを通るため、エリア内のルータは他エリア、外部エリアの経路を知っている必要はなくABRをデフォルトゲートウェイとして認識出来れば、他エリア、外部エリアと通信できるからです


R5のリンクステートデータベースとルーティングテーブルは以下の通りです


show ip ospf database
・エリア2にはLSA4、LSA5が流れないのでリンクステートデータベースに載りません
・LSA5はABRであるR3によってLSA3デフォルトルート(0.0.0.0)に変換して通知
・他エリアのネットワークアドレスもデフォルトルート(0.0.0.0)に変換して通知

show ip route
・外部エリア、他エリアのルートがABRであるR3をネクストホップとしたデフォルトルート「O*IA 0.0.0.0/0 [110/11] via 10.0.2.254」として載る

標準エリアだったときのR5のリンクステートデータベースはこちら
比較してみると、エリア2内に流れるLSAの数が少なくなっていることがわかると思います



まとめ

エリア名称 流れるLSA No. 説明
スタブエリア 1、2、3 ・ASBRを設置できない
・virtual linkを中継するエリアにはなれない
・LSA4、LSA5はABRがブロックしスタブエリア内には流れない
・LSA5で通知された外部エリアのネットワークアドレスをデフォルトルートに変換しLSA3で通知
トータリースタブエリア 1、2、3 ・cisco独自
・ASBRを設置できない
・virtual linkを中継するエリアにはなれない
・LSA4、LSA5はABRがブロックしスタブエリア内には流れない
・LSA5で通知された外部エリアのネットワークアドレスをデフォルトルートに変換しLSA3で通知 ・LSA3で通知された他エリアのネットワークアドレスをデフォルトルートに変換しLSA3で通知





ちなみに、スタブエリア、トータリースタブエリアにはASBRが設置できないと書きました
では、スタブ、トータリースタブエリアの設定をしたルータで再配送の設定をしてみるとどうでしょうか

%OSPF-4-ASBR_WITHOUT_VALID_AREA: Router is currently an ASBR while having only one area which is a stub area

というメッセージがでるものの、コマンドは通りますし、neighborも確立できるようですが、外部エリアを通知するLSAは生成されません