今回は、NSSA(Not So Study Area)についてです
NSSAとは簡単に説明すると、LSA4、LSA5を削減し、OSPF以外のルーティングプロトコル(直接接続含む)で学習した外部ルートをOSPF内に再配送するASBRを置くことができるエリアで、
LSA4、LSA5を削減するというのはスタブ、トータリースタブと同じで、スタブ、トータリースタブでは配置することができなかった「ASBRをエリア内に設置できる」というのが大きな違いです
では、以下の構成図を例に考えてみます
NSSAエリアのネットワーク構成図

拡大しても図が見づらい場合はこちら
各OSPFエリアの中でのルータの役割は下記の通り
-arae0-
DR(Designated Router) → R1
BDR(Backup Designated Router) → R2
ABR(Area Border Router) → R1、R3
-area1-
DR(Designated Router) → R1
BDR(Backup Designated Router) → R4
ABR(Area Border Router) → R1
ASBR(autonomous system boundary router) → R4
-area2-
DR(Designated Router) → R3
BDR(Backup Designated Router) → R5
ABR(Area Border Router) → R3
ASBR(autonomous system boundary router) → R5
各OSPFエリア内を流れるLSAのtypeについては下記の通り
-area0-
1、2、3、4、5
-area1-
1、2、3、4、5
-area2(NSSA)-
1、2、3、7
NSSAエリアの特徴としては
・virtual linkを中継するエリアにはなれない
・LSA4、LSA5はABRがブロックしNSSAエリア内には流れない
・NSSA内にASBRを置くことができる
・ASBRで再配送した外部ルートはNSSA内ではLSA type7(Type-7 AS External Link States)で流れ、NSSAから標準エリアへ通知されるときにABRでLSA7からLSA5へ変換される
・(NSSA以外の)他エリアから通知されるLSA5外部ルートはNSSAには流れないが、ABRで「default-information-originate」を設定することによってLSA5外部ルートはLSA7に変換されデフォルトルートとしてNSSA内に通知される
スタブ、トータリースタブではエリア内は袋小路となり、他ネットワークアドレスへの出入り口はABRのみとなります
そのため、ABRでstubまたはstub no-summary設定をするのみで、他エリアから通知される外部ルート(LSA5)はデフォルトルートとして、スタブ、トータリースタブエリア内に通知されました
NSSAではASBRをエリア内に設置できる為、スタブ、トータリースタブの様な袋小路ではなくなり、他ネットワークアドレスへ出ていく出口はABR、ASBRと最低2つ以上になります
他エリアから通知されてきたLSA5外部ルートをNSSA内に流しABRをデフォルトゲートウェイにする為には、「default-information-originate」コマンドが必要となります
NSSAの設定はABRとなるルータとNSSAに所属させたいルータのルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area [エリア番号] nssa
-----------------------------------------
と設定を入れるだけです
構成図を例にするとエリア0とエリア2のABRとなるR3とエリア2内のR5のルーターコンフィグレーションモードから
-----------------------------------------
area 2 nssa
-----------------------------------------
と設定を入れます
設定後、R5で「show ip ospf database」、「show ip route」の結果を見てると下記の通りとなります

①area2に10.0.0.7と172.16.3.128がR5からLSA type7で通知されています
2つのアドレスはEIGRPからNSSAエリアに再配送されたルートで、ADV Router…10.0.102.5であることからR5で再配送された事がわかります
②area2を流れるLSA3(Summary Net Link States)には、area0のネットワークアドレス(10.0.0.248)とarea1のネットワークアドレス(10.0.1.252)が載っていますが、R4でRIPを再配送しLSA5で通知している172.16.64.64/30のネットワークアドレスはありません
また、ルーティングテーブルにも172.16.64.64/30のルートは載っていません
ルーティングテーブルに無いという事は外部ルートであるR6へpingを実行しても応答はありません
③R5がEIGRPで学習している10.0.0.7/32は、R7のでループバックインターフェースのアドレスです
直接接続の172.16.3.130/30だとルーティングテーブルにはEIGRPで学習したと載らないので、何かしらのアドレスをEIGRPで学習したという事を示したかったので、特にそれ以上の意味はありません
では、R3のルーターコンフィグレーションモードから
area 2 default-information-originate
と設定を入れるとどうなるでしょうか
結果、R5の「show ip ospf database」、「show ip route」、「ping」は下記のとおりとなります

R3で「area 2 default-information-originate」を設定する前と比べてどうでしょうか
①ADV Router…10.100.1.3であることからR3がLSA5外部ルートをLSA type7のデフォルトルート「0.0.0.0」に変換しarea2に通知しています
②ルーティングテーブルにはO*N2 0.0.0.0/0 [110/1] via 10.0.2.254, 00:00:48, FastEthernet0/0が載りデフォルトルートがR3になっています(R3のF0/1のIPアドレス10.0.2.254はarea2に所属しています)
③LSA5外部ルートで通知されてきたR6へpingを飛ばしreachabilityがある事が確認できます
まとめです
| エリア名称 | 流れるLSA No. | 説明 |
|---|---|---|
| NSSA(Not So Study Area) | 1、2、3、7 | ・virtual linkを中継するエリアにはなれない ・LSA4、LSA5はABRがブロックしスタブエリア内には流れない ・NSSAエリア内にASBRを置くことができる ・ASBRで再配送した外部ルートはNSSA内ではLSA type7(Type-7 AS External Link States)で流れ、NSSAから標準エリアへ通知されるときにABRでLSA7をLSA5に変換される ・(NSSA以外の)他エリアから通知されるLSA5外部ルートはNSSAには流れないが「default-information-originate」をABRに設定することによってLSA5外部ルートはLSA7に変換されデフォルトルートとしてNSSA内に通知される |