(質問)
契約書には、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」と記載されていたが、
実際に、家主から「自分の息子夫婦が住むこととなったので、契約どおり退去してほしい」と言ってきた。
契約書に記載されている以上、従わざるを得ないのか?
(回答)
まず、契約内容が、「契約期間の定めがある通常の賃貸借契約」であるかどうかを確認してください。
以下は、そういう場合の対処策です。そうでない場合には、No.605 参照してください。
契約書の中に、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」というような規定があったとしても、
このような規定は、借地借家法上の強行規定に反するため、一切無効です。
借地借家法では、家主から退去を求めるためには、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、
家主の「正当事由」が必要とされています。
この「正当事由」は、借主保護のために、家主が物件を必要とする事情と借主のそれとを比較して、
家主が必要とする事情のほうに正当性がある場合のみ認められることになっており、
通常は、借主の事情のほうが優先されます。
しかも、家主自身ではなく、家主の家族が住むということになれば、
「息子夫婦がその物件に住まざるを得ない」というような特殊な事情がなければ、
家主としての正当性は認められないでしょう。
このような場合には、家主は、通常、財産上の給付、すなわち、立退き料を支払うことで、
「正当事由の補完」を行うことが必要です。
そこで、家主は、相当額の立退き料、近隣の同等物件に引越するための諸費用
(礼金、仲介手数料、保険料などの契約に必要な諸費用、引越代、
それまで住んでいた物件との間に家賃の差額があれば、最初の契約更新までの家賃の差額分など)を
支払うべきでしょう。
入居者としては、「家主としての正当事由がないため、立退きを拒否する。
どうしても、退去せよというのであれば、相当額の立退き料を支払え」という要求を行うことができます。


