はい、また続きでございます。。。
彼女は舞台にはまっているらしく、一緒にいるとしばしばその話になります。
なんでも蜷川にはどハマリのご様子。
私はあまりそういった類のことに知識が無く、
なんとなく うんうん と相槌を打つ程度です。
そのときもわたしは
「へぇー」とか
「すごいねー」
とか
当たり障りの無く、且つ積極的とも受け取れそうな返事を繰り返し、会話を続けておりました。
どちらかというとうわの空、だったかもしれません。
「…一緒に行かない?」
突然彼女の声が耳に飛び込んできました。
「ごめん、何、何を?一緒に?」
軽くふくれっつらをして彼女は繰り返しました。「っていうかー、今日疲れてる?仕事忙しいの?ちょっとアッチ行きかけてるでしょー。
ブラスト、観にいかないって言ったんですけどー。」
ブラストとは、
主に金管楽器と打楽器を演奏しながら、ところ狭しと走り回り踊りまわる、ど派手なブラスバンド、のような興行で、
彼女はもう3回ほど観にいっているという。
その4回目のパートナーとして、私が選ばれたのでした。
「え、えぇー、行く、っていうか行きたい! 話聞いてて、面白そうって思ったんだよね!まじで!いいのーー?」
思わず大喜びの私。
こういうことは、彼女を好き云々以外の要素でもあるので、一緒に出かけられることを素直に喜べていいな。
そのとき私は、そんな風に思いました。
「じゃー決定ね。公演は来月の15日、日曜だけど、空いてる?」
いちおう手帳を見る私。
どのみち、どんな予定が入っていようとも、私はそれを非情にキャンセルするのだ。
「あー、大丈夫。おっけー、15日…ね。楽しみっすよ。私中学生のときブラバンでサックスやってたもん。バリトンサックス。」
サックスやっててよかったと思う瞬間でもありました笑。
日も徐々に傾き、
ランチのつもりが午後3時、
アイさんはなぜかいつも夜遅くなるのを好まず、
「そろそろでよっか」と伝票を手にし、
そして私たちはさよならの挨拶を。
「それじゃー、15日近くなったらまたメールするっす~。」
私はこころに苦いものを覚えながら、それをぐいっと飲み込んで、
笑顔でこう答えたのでした
「ういーっす。それじゃね。またー。電車気をつけてーー。」
はぁ~。。。
また苦いものがこみ上げてきました。
そしてそのあと、心臓をわしづかみにされるような、息苦しい気持ちがどっと覆いかぶさってきました。
あと1ヶ月、アイさんには会えません。、
そう思ってしまった自分、
これは恋なのでしょうか。
そうではなく、ただの迷いなのでしょうか。
仕事が忙しくまた地方在住であるため、なかなか会えないアイさん、
家に戻ってからも、彼女のことを考えるたび、わたしはまた心臓を揺さぶられるのでした。
あぁナムサン。
もうすこし冷静にならなければ。