《松本ちえこさん死去》
※泣いた

松本ちえこがバスボンのCMでテレビに出て来た時は衝撃だった。


不細工な中学生だった私たちは、(中学生の女子は割と自己肯定感が低い)松本ちえこの出現は、希望の出現とも言えた。

その頃のアイドルと言えば、皆TVの中の存在で、近いのは年齢だけだった。

ところが、松本ちえこは、不細工は将来とっても良い未来が待っている…と自信満々に我々に訴えたのである。

『バスボンのうた 歌詞
歌:松本ちえこ
作詞:吉田博昭
作曲:あかのたちお

まんまる顔の女のコは
いいツマになれるって
私ってなれそう? ね、バスボン

ふっといアシの女のコは
つよいハハになれるって
私ってなれそう? ね、バスボン

~まんまる顔でふとい足の女の子に
ピッタリの男の子ってどんなかなァ…
四角い顔でほそい足なのかなァ…
すると、あなたの場合はドォ!?~

ちっちゃい目がかわいいヨって
コイビトならいうかな?
愛してくれそう? ね、バスボン

ひっくいハナがいろっぽいヨって
コイビトならいうかな?
恋してくれそう? ね、バスボン

バスボン バスボン バスボン』

恋人とか妻とか想像も出来ない田舎の中学生女子に、松本ちえこはカタカナ的に、悩める不細工集団に別の思考を与えてくれた。

自分の顔とか姿とか、もっと軽く考えていいんじゃない??

勘違いも甚だしい中学生の私たちは首を縦にふった。一つ年上の松本ちえこの事を私たちは、チーコと呼ぶ事はなく、いつも『松本ちえこ』って呼んでた。
私たちはTVに出てる人は全部フルネームで呼んでた気がする。


【短所を長所に変える事が出来る。】

その事を教えてくれたのは、間違いなく松本ちえこだった。

そして、大変失礼ながら、これも間違いなく全員自分は松本ちえこ的な顔をしていると思い込んだ。

まるで、自分自身がテレビに出ている様な錯覚。

そう

私たちは、『松本ちえこ』そのものだったのだ。


TVに出なくなって久しい松本ちえこの訃報…。
私たちは一気にあの頃の瑞々しい青春時代に引き戻された。

そして自分の年齢をヒシヒシと感じたのだった。

松本ちえこは、またしても、我々世代の人間に、何かを教えてくれようとしている。


松本ちえこさん。ありがとうございました。ずっとずっと大好きです。


※松本ちえこさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。