小学生になったばかりのある日の算数の時間。この日が初めての算数の授業。
真新しいノートの書き方の説明を先生から聞いていた。

私は張り切っていた。張り切って先生の言われた通りノートに数字を書いていた。
そんな私を隣の子が見て、突然手を挙げた。

「先生!五十嵐さん(仮名)が、違うところに書いてます!!」

先生が飛んで来て、私の間違いを指摘した。そして、間違った部分を消しゴムで消して新しく書き直す様指示して来た。

私は、正しい所に書いていなかった。
真新しい算数ノートはもう汚れてしまった。

間違った所に書いた自分は汚れた人間だ。消しゴムで消した部分の汚さは自分そのものだ。


手を挙げた隣の奴は、先生に自分は気の利くすごい奴アピールをしたのだ。

そいつは、私のノートを見てすぐさま手を挙げた。
私のことだ!と分かった私は、そいつの手を下げさせようとした。
私は何かを間違えたのだ!

(えっ?!)(先生にアピールするのは辞めて!)(皆んなにバカを示すのは辞めて!)
瞬時にそれだけの事を思ったと言うことは、そう言う手を挙げて他人の間違いを先生にアピールすると言う行動が推奨されていたに違いない。

しかしそいつは、真っ直ぐに先生を見て、これ以上真っ直ぐにならないくらい指先までピンとさせていた。背筋まで真っ直ぐだった。

真っ直ぐ先生を見て
真っ直ぐに背筋を立て
真っ直ぐに手を挙げる

真っ直ぐ三重奏。

私は、自分の顔がみるみる真っ赤になって火照って行ったのを忘れない。

先生がやって来て私の間違いを指摘した。そして隣の奴を誉めた。

隣の奴の得意満面な嫌な顔。

例え間違った自分が悪かったとしても、ここまで恥かかされる事はないのに…。
みるみる涙が溢れて私は算数ノートを机の中に隠して二度と開く事はなかった。

教育とは一体なんなんだろう。

こうして、
優秀な人材=私
を学校が潰したのであった。

#五十嵐先生
#歌謡健康体操
#恨みは忘れない
#どうでもいい事だけ覚えてる
#算数
#ボリウッドダンス
#体験会
#お楽しみにね!