監督: 石川慶
2022年公開
原作:平野啓一郎『ある男』(2018年)
所要時間:2時間1分

 

本作は、平野啓一郎の小説をもとに制作された映画で、
安藤サクラ、窪田正孝、妻夫木聡が主な登場人物として登場します。
安藤サクラ演じる里枝は離婚した夫との間に一人息子がいて、
シングルマザーとして息子と暮らしていました。
ある日、働く文房具屋によく来るようになった谷口大祐と次第に親しくなり、
結果二人は結婚することになります。
しかし、結婚してからしばらくしたある日、
大祐が木こりの仕事をしているときに事故で倒れてきた大木の下敷きになって、
大祐は亡くなってしまいます。
 

葬式を終え、一息ついていたとき大祐の兄という方が訪れてきてくれるのですが、
その兄曰く、遺影の大祐の顔を見ると、これは大祐ではないと言い出します。
里枝も訳が分からず、弁護士の城戸が大祐の身元を追うことに。
本当の谷口大祐は一体誰なのか、
結婚して共に過ごした彼は一体誰だったのか。
実存とは何なのかということを突きつけてくる作品でした。
また、城戸は在日三世として描かれ、内容的にもこの「在日」の人々に対する
冷たい視線のようなものも描かれます。
在日の方々に限らず、純粋に日本に受け入れられない人々を細かく描いた名作です。
彼らの心の葛藤やさみしさを私たちは一度しっかり理解するべきなのかもしれません。