監督: 李 相日
2022年公開
原作:凪良ゆう『流浪の月』(2019年)
所要時間:2時間30分

 

本作は、凪良ゆうによる同名小説をもとに制作された映画です。
10歳の少女と青年の複雑な心理が絡み合う物語。
孤独な大学生の文(ふみ)は少女にしか恋愛感情を抱けない性質を持っていて、
ある日両親ともに失い伯母の家で気まずい思いをしていた少女・更紗と出会います。
二人とも当時孤独を感じる者同士で惹かれ合い、
そのときは本当にかるい現実逃避で更紗は文の家に行ったんだと思います。
だからこれは誘拐でもないのかなと思いながらも、
でも”社会”から見たら二人の関係はロリコンの誘拐犯と被害者となってしまい・・・・。
当時一度文は捕まり前科持ちとなり、世間も騒ぎ立てていた事件だったので、
釈放後もただひっそりと生きていくほかありませんでした。
誰か優しい人から受け継いだのか、
レトロな喫茶店の店長をして密やかに暮らしていました。
 

そのころ、大人になった更紗はモラハラ彼氏との関係に困っていました。
そして、ある日更紗と文は喫茶店で偶然の再会を果たし・・・・。
昔の二人の間には犯罪的なものはないという設定なのですが、
やはり世間から見たらどうしても犯罪者として扱われてしまうもどかしさがありました。
今回の場合は更紗の選択ですし、更紗にとって居心地の良い場所が文の隣だったのです。
それと、たとえロリコンなどの性質ではなくても、
相手に暴力するモラハラの方が人としてやばいなと・・・・。
間違った正義感みたいなものが描かれていて、それを演じきった横浜流星もすごい。
なかなかに考えさせられる内容でした。
最後の方で出てくる、文のセリフの「更紗は更紗だけのものだ」が刺さりました。