監督: 高畑 勲
1988年公開
原作:野坂昭如『火垂るの墓』(1967年)
所要時間:1時間29分

 

本作は、ジブリ映画作品のなかでもかなり重たい内容ですが、
原作は野坂昭如による短編小説です。
脚色はあるにせよ、短編であそこまで濃い内容が書かれているのはすごいですよね。
昭和20年の神戸を舞台とし、
戦時中のある兄妹の人生を描いたものになります。
親が空襲のせいで入院しなければならず、
まだ幼い妹の節子ともに叔母の家に身を寄せることになった清太。
しかし、食糧も限られたなかで清太たちは叔母にとって重荷になっていってしまいます。
 

清太はそんななか祖母の家までも妹を連れて出て行ってしまい、
二人で路頭に迷うことになってしまうのです。
ところどころ手を差し出してくれる大人はいるし、
清太のプライドの高さゆえにうまくいかないことが描かれとても胸が痛くなる内容です。
妹の節子も次第に栄養が足りなくなり、
ドロップ飴と間違えておはじきを食べてしまうシーンは悲しすぎる場面として有名です。
戦争の愚かさはもちろんですが、そこで織りなされる人々のやり取りや心情が
とても細やかに描かれている名作です。