監督: 増村 保造
1964年公開
原作:谷崎潤一郎『卍』(1931年)
所要時間:1時間32分

 

本作は、昭和の文豪である谷崎潤一郎の原作をもとに制作された映画です。
『卍』は4度も映画化されるほど愛された作品で、
今回紹介する増村保造監督のものは1番目に映画化したものとなります。
時代も1964年とだいぶ古く、昭和の話し言葉や空気感がとてもよく分かります。
光子という女性を中心に、
三角関係が二つ出来上がるという不可思議な恋物語。
園子は夫がいながらも光子という女性の魅力に惹きこまれ身体の関係を持ちます。
しかし、光子には綿貫という名の情夫がいて、
彼が光子と園子の関係を知って、不思議な三角関係になります。

しかも、後半では園子の夫である孝太郎が光子と出来てしまい、
ここでもまた破局にはならず、謎の三角関係に。
みんな光子がすきなんですよね、彼女の魅力には勝てないのです。
原作が書かれたのが1930年代で、
こんな早い段階から同性愛が描かれていたんですね。
しかも、男性も入ってきて二度にわたる三角関係の完成。
けっこうセンシティブな内容ですが、
緊迫したストーリーの展開に惹きこまれていきます。